初めての待ち合わせ場所で迷う事30分。
無事に合流して車に乗り込んだ私に開口一番、彼が言った。


「今日は記念日だから楽しみにしてて!」


ビックリしている私に


「気付いてない?今日200回目のデートなんだよ」


彼が知ってる事に軽く衝撃を受けたが、知っていて秘かに計画してくれていた事が本当に嬉しかった。


ランチに煮込みハンバーグのお店に行ってから
彼が私に見せたいと言う場所まで高速に乗ってドライブ。

駐車場から歩いて向かう。
足場が悪い岩場もなんのその、ガサツな私はスカートをパンツに挟み込みブルマスタイルで登る。

そこは地球の丸さを感じる水平線以外何もないスポットだった。
晴天と青い海。
癒される。


ずっとそこに居たかったけど若いカップルが登って来たので、どうぞどうぞとオジサンとオバサンは特等席を譲る。

美味しい空気と綺麗な景色を堪能し、雰囲気に飲まれた彼から甘い言葉もうっかり出る。


市場に寄り、お買い物。
お寿司屋さんにも入る。
美味しいケーキ屋さんでコーヒーを頂く。
ロープウェイで山にも登る。
ちょうど日の入りで山頂から見える海が美しかった。


私が前から行ってみたいと言っていたホテルを予約してくれていて喜ぶ私と、部屋一面のオーシャンビューに私よりはしゃぐ彼。

チェックインしてから散歩に出掛け、海辺を歩き露店を見て回り、中華を食べて部屋に戻った。


私からの唯一のプラン、手紙を渡すと彼は一人で読みたいとテラスに出た。

しばらくして私もテラスに出ると彼が両手を広げている。
「本当にありがとう。」とハグ。


その後「ここにちょっと座って」と言われてベッドの上に向かい合わせで正座する。


「今日は私の好きな物を沢山詰め込んだサプライズデートをありがとうございました」と、ふざけて三つ指付いて頭を下げる。


「200回も思い出を重ねてくれてありがとう。これからも美味しいもの一緒に食べようね。いろんな所に一緒に行こうね。次は210回を祝おう」と彼が言う。


「300回じゃないんかーいっ!」とツッコむと

「こういうの、毎月したいじゃん」


彼の仕事が忙しくて無理だろうけど、時間が許せば毎月旅行したいと思ってくれていたのか。

多分、既婚である事を私に申し訳ないと思っている彼は、私に他の街で周りの目を気にせず過ごさせてあげたい思っているんだな、と感じる事がある。


でも、大丈夫。
今のままで充分。
充分、優しさ伝わってます。


あれこれ考えたのに手紙しか用意出来なかった私。
こっそりしっかり準備してくれた彼。

やっぱり敵わない。

ありがたい2日間だった。