写真家ハービー山口さんのエッセイを買った。
題名は「人を幸せにする写真」
この方の本を買うのはほぼ40年ぶり。

80年代、ロンドン在住時の写真集以来。


   (サイン本です)


被写体は街中の一般の方から当時先端のロック、パンクアーティストや結婚前の故ダイアナ・スペンサー妃など多岐にわたる。

何故一介の東洋人がロンドンでここまでの写真を撮れたのか不思議だった。


しかし今回のエッセイ「他人を幸せにする写真」を読んでわかった。

(この本は撮影テクニック本では無い)


なんというか被写体に対するリスペクトを全身で相手に伝えることが大切だと教えくれる。

それが伝わればいろんな壁は消えてしまうそしていい写真が撮れて撮影した側も撮られた方も幸せになる。

そしてその写真をみた人も幸せになる。


以前スマホの写真は写真じゃないと書いた。

盗み見や立ち読みのような撮影で人の心は動かせない。

写す人への敬意がなければいけない。

今の時代は写される人の同意が無ければ許されない(報道写真を除く)。

それでなければ「人を幸せにする写真」のルールから外れてしまう。


それにしてもこの方の写真は不思議だ。

解像度も高くないのに心に響く。

やはりライカでなければここまで撮れないのか?

いや、ごりっぴぃがライカM3を持っても絶対撮れない。 

一つだけわかるとしたら写真は光の操り方(光の向き)でいかようにも変わる。


写真にとって大切なのはレンズのピントやカメラの露出じゃない。

解像度が高いからいい写真でもない。

写真を見て手が止まり釘付けになる。

そしてその写真を撮った状況を想像する。

果ては写った人の人生まで考えしまう。

そういう使い捨てじゃない心に残る映像。

それがいい写真の条件なんだろう。


巷に溢れている衝撃的、劣情を起こす写真はインパクトはあるが瞬間湯沸かし器で何も残らない。

果ては生成AI、もうフィルムによる映像以外は「写真」という定義から外れている気がする。

もう一度モノクロフィルムで写真を撮ってみたい衝動が芽生えた。

(高校時代の写真はみんなモノクロ、自分で現像・プリントした)


良い映画を見ると人生経験が増えた気がするがそれに近い。

だからいい写真を見ると心が豊かになる。

ごりっぴぃに今迄そんな写真が撮れたことがあっただろうか?


いや、そんなことよりこれからそんな写真が撮れるだろうか?

どうすればいいか考えた。


①カメラを常に持ち歩く。

そうすれば身体の一部に近づくし突然カメラを構えて相手に警戒されることもない。


②どんどんシャッターを押す。

昔はフィルムだったが今はメモリカードなのでフィルム代、現像代を気にすることなく被写体を撮ることができる。

「撮りたいものは全て撮るんだ、それがパンクだろ(同エッセイ中のジョーストラマーの言葉より)」


③レンズは35mmから85mmぐらいがいいだろう。

20mm以下の超広角は臨場感があるがなんでも1画面に収まる欲張りな絵になるし100mm以上だと飛行機写真ならともかく人間の心までは写せない気がする。

85mmがポートレートにいいと昔からよく言われているがやはり35mmぐらいが自然な空気感があってスナップ写真にはいい気がする。



昔のコンパクトフィルムカメラは35mmが多かったので1眼レフ時代は35mmレンズを意識的に避けていたがズームじゃない単焦点で明るいレンズが欲しくなった。


それにしてもこのエッセイの読後感はなんともいえない穏やかな気持ちになった。

近々ハービー山口さんの写真展があるので是非行ってみたい。

写真の感性を上げる為に行く訳じゃない。

ただ幸せになりたいから行く。