前回に続き今回はピアニストのフジコ ヘミングさんが亡くなった。
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この方の演奏は感情をぶつけるようなスタイルで女性ピアニスト(アニー・フィッシャー、マルタ・アルゲリッチ)にありがち。
「豊かな表現力」と評されるがそれゆえにBGM的な聴き方は許されない。
この方の困難に満ちた生き方を知ればなおさら。
ただ逆に言えばもし順風満帆な人生であったならここまでの表現力のある演奏スタイルは出来なかったのだろうとも思う。
困難から逃げなかった証明としてあの演奏スタイルが出来上がった。
だからクラシックをあまり知らない人達から熱烈な支持を得られたのだろう。
ファンの方は言う「フジコ・ヘミングさんの演奏を聴くと勇気が湧いてくる」と。
実際、辛い時や追い詰められた時にこの人のピアノを聴くと「矢でも鉄砲でも持って来い」みたいな感情になる。
ただ「正統派クラシック評論家」からは公平な評価されていなかった記憶がある。
評論家が作った「世界のピアニスト名鑑」には掲載される事はない。
感情を押し殺して演奏をするような「優等生」ではなかったから。
実際リストの難曲をこんなに表現豊かに演奏している。
規格外のピアニストだったフジコ・ヘミングさん、あちらには規格はないのでもっと自由に弾いてください。
いつかごりっぴぃも聴きに行きます。
そしてあちらに逝ってしまったピアニスト、憧れのルビンシュタインのCDBOXセットを購入して数年が経つ。
1アーティストで144枚のCDBOXなんてもう空前絶後(それでも完全ではなくて1964年のモスクワライブ等を自分で買い足した)。
最初は嬉しくて毎日聴いていたが60枚目ぐらいから疲れて結局半分ぐらいしか聴いていない。
全 CDをiTunesでPCにリッピングするのが精一杯(1ヶ月ぐらいかかった)。
聴くことは苦痛じゃないがどういう背景で演奏・録音されたのかわからない。
迷宮に迷い込んだ感じ。
同梱されていたハードカバーの豪華なブックレットは英文だし。
もう全曲を聴くのは無理?
そんな中、こんな本が発売された。
年代順に録音された全曲のレビューが書いてある(558ページ)。
そしてそれぞれの状況・背景が記述してある。
この本はまさに「日記」:Biography
そしてCDBOXがDiscography
この組み合わせでルビンシュタインの録音が99%理解して聴ける。
しかし大好きなルビンシュタインのレコード・CD発掘の旅がこれで終わり、後は聴き込むだけ。
それにしてもこの本を書いた藤田恵司さんという人はどれだけの時間と労力をかけたんだろう(巻末の謝辞だけで数ページある)....
そしたらこの方はホロヴィッツで同じ様な本を書いている(498ページ)。
オイオイ、この人大丈夫か?
ホロヴィッツのライブ及びセッション録音は編集されて事実と記録が必ずしも一致していない事は周知の事実でそれを織り込んで聴く。
そして聴く側に混乱が生じる。
だからごりっぴぃのホロヴィッツCDBOXも迷宮入りで放置プレイ状態....
しかしカーネーギーボールのライブだけでBOXセット(37枚組)ができるとは....
そんなんでこの本も購入。
ホロヴィッツよりもルビンシュタインの方が厚い。
2冊合わせて1050ページ....
たった1人で2人の偉大なピアニストの全録音をレビューしてしまうとは。
もうオタクとかマニアを越してパラノイア(偏執狂)か??
こんなことしてしまうのは世界にこの人だけだろう。
でも書く方も書く方だけど聴く方も聴く方。
サブスク・ネット配信の時代、CDBOXセットなんて世界で日本人しか買わない。
というか日本人特有の国民性がなせる技なんだろう。
日本フルトフェングラー協会なんて本国ドイツ以上にこだわりがある。
オタクの世界はアニメだけじゃない。
クラシックでもある。
しかし買うだけならただのコレクター。
聴き込んでこそオタク。
それを解釈するのがマニア。
それ以上を求めればパラノイア。
あとはどれだけ時間をかけられるかが問題。
藤田恵司さん、この調子でグレン・グールドの本も書いてください。
絶対買いますから....