新作歌舞伎、初体験!


新作歌舞伎「流白浪燦星(ルパン三世)」を新橋演舞場で見てきました!いやー面白かった!

以下、ネタバレ含んでいますので、ご承知おきください。


歌舞伎でルパン三世って、どうよ?そりゃ話題作りには良いけど、ちょっと私のようなライト層に寄せすぎてない?とも思ったのですが、とても見たくなりました。

 


歌舞伎はごくごくたま~に見るだけなのですが、もともと嫌いじゃないですし、シネマ歌舞伎も何度か見に行ってます。ただし、ごく最近初めてスーパー歌舞伎「新・水滸伝」を見て大いに刺激を受けた直後だったことも影響したかな。

 


役者さんが素晴らしい!

 

そして文句なく楽しむことができました。

そりゃそうでしょう。役者がハンパないわけです。誰もが知っている人気役者ばかりです。

 


ルパン三世   ⇒ 片岡 愛之助

石川五右衛門  ⇒ 尾上 松 也

次元大介    ⇒ 市川 笑三郎

峰不二子    ⇒ 市川 笑 也

銭形警部    ⇒ 市川 中 車

 


これらの役者さん、みんな原作アニメのキャラクターをリスペクトし、相当研究したうえで演じているなと思いました。


勿論、原作は原作、歌舞伎は歌舞伎と割り切った考え方もあると思いますが、今回はルパンの世界観やエンタメ性をどう歌舞伎で表現できるかこそが重要なポイントだったと思うのです。


その点、それぞれの役者さん、それぞれのキャラクターが乗り移ったかのような出来栄えでした。


原作アニメのファンも溜飲を下げるような演技だったと思うし、何の違和感もなく安心して安土桃山時代のルパンの世界に没入することができたと思います。

 

ルパンの愛之助さん、さすがです!もうルパンにしか見えませんでした!実はここが全ての肝で、愛之助さんのこの仕上がりがあったればこその作品だと思いました。従来のルパンファンの心をガッチリ掴んだんじゃないかな。

 


五右衛門の松也さん、カッコ良かったです。登場人物のなかでも独自の世界観をまとい良い意味で浮いてる存在を、あえて他の二人より歌舞伎的アプローチ強めで演じ切りました。これが二人とのコントラストを強めることにもなり、効果的だったと思います。

 


次元の笑三郎さん、実は彼が一番キャラ設定が難しい役だったんじゃないかな。マンガだと感じとりやすいのだけど、歌舞伎で演じるとなるとどうなるのかな。。?でもそれは杞憂でした。ニヒルで冷静でルパンの最大の理解者、次元大介という男を笑三郎さんらしく見事に演じており、とても様になっていました。

 

不二子の笑也さんもよかったですね~はまってました。そしてとても綺麗!声も女性らしく素敵でした。中車さんの銭形警部に至っては、もう中車さん以外には考えられないです(笑)、実写版があったとしても中車さんのハマリ役になるんじゃないかな。中車さんにはどんな役でもねじ伏せるパワーがありますよね。

 




見どころ満載!


ルパンと五右衛門の対決は、水をかぶっての大熱演

でした。前3列まではあらかじめ水避けのビニールが配られてました。これはタフな2人じゃなければできない演出です。


2幕目の最初にマモーさん(片岡千壽さん)の解説にもあった「だんまり」、4人男➕1人女性の勢揃いや、拍子木のツケを伴った見得を切るシーンなどいかにも歌舞伎の様式美も当然、ふんだんにありました。


私などのライト層がより楽しめるように、「鎌倉殿の13人」「VIVANT」ネタなどをセリフに盛り込んだり、マモー(片岡千壽さん)によるユーモア混じりの解説を入れたり工夫されていました。



1978公開 ルパン三世劇場版第1作

「ルパン三世 ルパンVS複製人間」より

マモー ↓↓↓↓





愛之助さんのいかにもルパンらしいセリフ「フージコちゅわ〜ん!」なども盛り上がりましたね。


牢名主(市川寿猿さん)と次元との会話では楽屋落ち的なセリフもありました。


また、中村鷹之資さんの迫力ある熱演、坂東彌十郎さんの滑稽さと貫禄もとても印象深かったです。


音楽も、お馴染みの大野雄二さんのオリジナル曲の主旋律を和笛でアレンジしたり、アニメのその回のタイトルを映す時に使う短いジングルをそのまま使ったり、とてもワクワク感を高めてくれました。







スーパー歌舞伎と新作歌舞伎


今回、初めて新作歌舞伎をみたのですが、スーパー歌舞伎と比較すると、当然と言えば当然ですが歌舞伎寄りですね。従って歌舞伎への造詣を一層深めたい方、元々の歌舞伎ファン、双方が満足できるのじゃないかな。


一方、スーパー歌舞伎は、歌舞伎を超えた歌舞伎で、より大仕掛けの演劇を楽しむ感覚に近いかな。






これからも新作歌舞伎、スーパー歌舞伎への期待がますます高まりました!

以上です。