幸福温度計④
なぜ、その人が気になるのだろう。
人には、不思議なことがあります。
ある人のことは、まったく気にならない。
ところが、別の人のことは、なぜか気になる。
応援したくなることもあれば、
羨ましく思うこともあります。
時には、嫉妬することさえあります。
では、その違いは何なのでしょうか。
例えば、私は相撲を見ても横綱に嫉妬することはありません。
相撲に興味がないからです。
横綱になりたいと思ったこともありません。
だから、心はほとんど動きません。
しかし、自分が歩いている道で、自分より先を歩いている人を見ると、心が動くことがあります。
作家であれば作家。
映画をつくる人であれば映画人。
同じ道を歩いているからこそ、心が反応するのです。
ここで、一つの問いが生まれます。
なぜ、その人が気になるのでしょうか。
私は、この問いを自分自身に向けるようにしています。
すると、不思議なことが見えてきます。
その人が持っているものの中に、
自分も大切だと思っているものがある。
自分も目指しているものがある。
だから、心が動くのです。
嫉妬という感情は、決して気持ちの良いものではありません。
でも、そこで終わらせるのは少しもったいない。
その感情の奥を見つめてみると、
「私は本当は何を目指しているのだろう。」
そんな問いが見えてくることがあります。
幸福温度計は、感情を消すための道具ではありません。
感情を読み解くための道具です。
もし今日、誰かのことが気になったなら、
その人を見つめる前に、自分の心を見つめてみてください。
そこには、自分でも気づいていなかった理想が、静かに映っているかもしれません。




