
ジャズの老舗レーベルであるブルーノートの歴史を書いた本である。
名盤紹介的な構成ではなく、(そういう本はたくさん出版されている)
アルフレッド・ライオンというジャズ好きのドイツ移民の若者が、
アメリカで1940年代にいかにしてこのレーベルを立ち上げたか、
いかにして史上最強のジャズ・レーベルに育て上げたか、
数々の名盤がどの様な経緯でレコーディングされたか、
などなどのエピソードが物語形式で綴られている。
玉下はジャズが好きだがマニアではない。
知っている曲も知識も極めて断片的である。
でも、いやだからこそ、こういう物語には惹かれる。
それはジャズに限らず、たとえばお城が出来た経緯とか、
ウルトラマンが生まれた経緯とか、
S. ジョブスがAppleを作って追い出されて復帰した経緯と同じく、
人の生き様として面白いからである。
ちなみに仕事で音楽にも少し関わっている身として、
非常にしみた一説が本書の冒頭に記されていた。
少々長いが引用したい。

現在、レコード盤のセンター・レーベルはもう存在しない。
曲目も何もかも、巨大企業が作り出す一枚の銀色の小さな円盤に印刷されている。
そして企業の多くは、朝食のシリアルや歯磨き粉でも売るように音楽を売る。
懐古趣味とはとられたくないが、時代は変わってしまったのだ。
1990年代から2000年代に移行した時、
日本でもミュージック・ビジネスがビジネス・ミュージックに変容した気がする。
音楽が好きな人間が集まって音楽産業がなりたっていた時代が、
いつの間にか音楽を金儲けの手段の一つとする人間が牛耳る時代になっている。
世に送られる音楽に違いはないかもしれないが、
音楽を作り出す環境は激変している。
しわ寄せは何十年後かに訪れる。
果たして1950年代のジャズを2016年でも楽しめるように、
今の音楽は60年後にも若者受け入れられるのか…。
こればかりは時間が答えを提示してくれるまでわからない。
でも間違いなくブルーノートを作り上げた当時のスタッフは、
純粋にお金や栄誉以上にジャズを愛していたという事実が、
本書からしっかり伝わってくる。
嗚呼、今の我が身を振り返ってみて、この気持ちを思い出さなきゃ…。
【本日の一曲】 「BLUE TRAIN」 by John Coltrane
高校の頃、友達に聴かされてピンと来なかったんだよなぁ…。
大人になってミョウガを食べられるようになったみたいな感じ?
今、大好きな一曲です。
カテゴリー
wrote by 玉下奴郎