来年で15周年を迎えるこの店は、
既に何年も前から看板のBARの文字を消してしまった。
MASTER兼OWNER曰く「BARだと思って来る客が面倒」だそうである。
Counterと二つあるTableで満席になる小さなお店なので、
そして他に誰かを雇っているわけでもないので、地味に大人しくお店を続けられれば良いという。
で、このお店をMODELにした小説が江國香織の短編集にあって、
その文庫本の表題が...。
「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」
英語では、
It's not safe or suitable to swim.

小説の筋書きは興味のある方が読んで頂ければ...。
玉下が気に入ったのは、
恐らく日本人の感覚でこの表現をすると、単に「遊泳禁止」となるのに、
つまり誰か(自治体とか近隣の学校とか)が
泳ぐのに適さない川や海岸があると「遊泳“禁止”」としてしまうのに、
アメリカでは(小説の中で主人公が見た看板では)、
あくまでも“not safe or suitable to swim”にとどめている点。
泳ぐか否かの判断は、看板を読んだ人に委ねるのです。
世の中が世知辛くなると、人はつい他人に責任を転嫁しがち。
その方が自分を安全圏におけるから。
でも実際に判断をしたのは自分なわけで、
それを「禁止しないのは●●が悪い」とか、
「管理できていないのは●●の怠慢だ」とか、
「こういう結果になることを予測できなかったのか」とか...。
いやいや、その前に自分の目と耳で何も感じなかったの?
自分の経験と知識で考えなかったの?
江國さんの小説は決してそんな堅苦しい内容ではなく、
彼女らしい現代的な恋愛小説なんですが、妙にこのTitleに惹かれました。
あっ、ちなみに西麻布のBARが舞台になっている短編は、
全く違うお話なんですが...。
wrote by 玉下奴郎