手縄毛で、オイラ的な蒐集の一つで「カスバの女」コレクションがあるのだよ。

 オイラがこの曲を初めて聴いたのは、多分、1967~68年辺りだろうね。哀愁のあるメロディとよく聴く歌謡曲の歌詞とは違って、カスバ、アルジェリア、セーヌ、シャンゼリゼ、チュニス、モロッコ等の外国語名称が沢山出て来る。

 歌詞で唄われている世界も日本ではないようだしね。そんな辺りがオイラの心に印象深かったのよね。して、当時は、沢山のカヴァーが作らりて、世間でもかなり流行ったのよね。みんなもその異質性に惹かれたのかしらん。
 そんなこんなで、マニア&コレクター気質のオイラ的には、ライフワークとして、その曲をカヴァーしているレコードを蒐めているのだよ。そのシングル・レコードの一部が冒頭の写真だよ。

 そりぞりの歌手が個性的に唄っているから、印象もそりぞりでオモチロイよ。元の楽曲のクオリティが高いことを証明しているよね。

 その「カスバの女」と云う楽曲は、そもそもが、そりなりにドラマがあるのよね。世間的に認知さりたのは1967年からなんだけど、誕生したのは1955年なのよね。昭和で言えば30年、オイラの生まれた年だよ。ある独立系映画の主題歌用に作詞家の大高ひさをが作詞を依頼さりたのよ。

 彼としては、そりまでの日本の歌謡界になかった斬新な歌詞を考えていたようだ。そして、彼が感銘を受けた1930年代のフランス映画「望郷」や「外人部隊」「モロッコ」辺りをモチーフに作ったようだね。

 にゃので、とてもバタ臭い歌詞世界になったのだね。フランスの外人部隊が駐屯する北アフリカのアルジェリアのカスバ地区でやはりフランスから流れてきた歌手兼ダンサーのナオンが外人部隊の傭兵と報われぬ恋に落ちるって感じだよね。切なくて泣けるね。

 そんで、その曲を唄ったのがエト邦枝だよ。当時としては中堅の歌手だったようだね。ほんで、レコード、当時だから、まだSP盤だけど、発売さりたよ。ところが、元々の映画が制作中止になり、この曲も流行らず時代に埋もれてしまったのだよ。

 だば、1967年になり流行りだしたのだよ。何故、発表から12年も経て埋もれていたこの楽曲が流行ったのかはオイラは明らかにする事が出来ていない。

 既にエト邦枝は引退していて、彼女の音源がリヴゥイヴァル・ヒットした形跡はないのよね。一般的には、その発端は緑川アコの音源となっている。だば、彼女のレコードがリリースさりたのと同時に沢たまきや竹腰ひろ子のレコードも発売さりていて競作状態だったのよね。

 ほんで、そりよりも早く67年初頭にはエトの音源を所有しているテイチク・レコードから三界りえ子によるカヴァーをリリースしているのよね。その上、そのシングルの片面は同じ曲をカヴァーしたアイリー隆って男性歌手の音源とのカップリングなのよね。
 いったい、何故、流行ったのかしらん、謎だよ。

 そんなこんなで、大ヒットしたので、沢山の歌手のカヴァー音源が存在しているよ。オイラ的にはこの人の音源が好きだよ。丸山時代の美輪明宏のアルバム『別れのブルース~丸山明宏 "おんな"と"愛"を唄う~』に収録さりている。
 こりが良いのよ。他の歌手の唄は思い入れたっぷりの演歌風なのだよ。美輪もそんなトコがあるのだけど、この音源に関しては良い意味で力が抜けているのよね。にゃので、基本的な歌唱力が判断できるけど、上手いよね、唄が、美輪さんは。

 浅川マキも唄っているのよね。80年代にリリースさりた『幻のおんなたち』ってアルバムに収録さりているよ。以前は所持していたけど、金策のために処分して、買い戻ししたいけど、高いのよね、80年代の浅川のレコードは。

 んで、本家のエト邦枝の音源なんたけど。流行を受けて、本家のテイチクからシングルで最発売さりているようだよ。んで、そりとは別に彼女のシングルを1枚入手している。そりがこりだよ。
 発売はテイチクではなく、ソーラス・マーキュリー・レコードと云うマイナー会社だよ。この会社はよく判らないよ。ジャケットの作りや定価は600円だから、多分、70年代半ばの制作と推測さりるね。

 音源はと言えば、明らかに70年代の音質なのよね。その頃の彼女は50代後半だけど、秀逸な歌唱なのだよ。さすがオリジナルの歌手って仕上がりだよ。素晴らしい。
 
 んな和氣で、これからも折り合えば「カスバの女」のカヴァー音源は蒐めていくよ。まっ、オイラが誕生した昭和30年に同じくして産み出された、この曲は昭和の名曲の一つだね!、、、(^-^)/