まいどっ。

 ちゃみでっす。

 このblogは、蒼辰の構成台本、ちゃみの語りでお送りする[読むラヂオ]です。

 テーマは[暇つぶしのお供]。

 お気軽にお付き合いくださいまし。

 

 オープニング、まだリニューアルしてません。

 とっしょり蒼辰、このとこなんか忙しいみたいです。

 なんで忙しいのかは知りませんケド。

 さて本日の話題はこれっ。

 久しぶりに行ってきました、歌舞伎座でございます。

 このblogになってから初めてじゃござんせんか。

 コロナやらなんやらで、ずいぶんご無沙汰の歌舞伎座でございます。

 それというのも、とっしょり蒼辰は自称歌舞伎マニア。こんなにご無沙汰は久しぶりのことなのであります。

 お目当ては?

 勘九郎ちゃんが初役で左官・長兵衛を演じる文七元結でございます。

 女房お兼を七之助が、娘お久を勘太郎が演じる座組。中村屋贔屓としては、行かぬわけにはいかない舞台でございます。

 そして、一番目には、玉三郎さまの阿古屋が上演されるとあっては、三階A席6000円も、決して高くは感じないというものでございます。

 さて、では、劇場へ。

 先ずは、阿古屋から。

 壇浦兜軍記の三段目。通称、琴責めと呼ばれる一幕です。

 これ、簡単に言うと、遊君・阿古屋が、恋人・景清の居所を教えろと、源氏方に詮議される。

 その際、琴、三味線、胡弓の三つの楽器を演奏させられ、その調べに乱れがあれば、景清の居所を知らぬという言葉が嘘である証拠という詮議を受ける。そんだけの話です。

 極論すれば、女形の技芸を見せるために、ちょっとしたシチュエーションを施したとも言える、ま、歌舞伎らしい、ドラマよりは、あくまで役者を見せる一幕です。

 けど、主役たる女形は、琴、三味線、胡弓を、乱れなく演奏しなくてはいけない。

 女形にとって、究極の難曲とも言われる由縁です。

 上演記録を見ると、昭和30年台から、昭和の終わりにかけては、六世中村歌右衛門、いわゆる大成駒でしか上演されていません。

 まさに独壇場。

 そこから、10年余りの空白を経て、平成9年に玉三郎が復活させます。

 平成の間は、玉三郎でしか上演されていません。

 これまた独壇場。

 令和になってから、まだまだ若手の現・時蔵の当時・梅枝や、大成駒の直系でもある児太郎によって上演されています。

 頼もしいですね。

 途切れることなく、受け継いでいってもらいたいと思います。

 舞台は、演奏の乱れで真実を判断しようという場面のみ。動きの少ない、舞台面に変化のない演目です。

 そこにいるのは、遊君・阿古屋と、詮議する武将・秩父庄司と赤っ面の岩永だけです。

 赤っ面というのは、端仇といわれ、大物悪役の子分的ポジションの役柄です。

 阿古屋の舞台では、秩父庄司の詮議に何かとちょっかいを出す役柄。

 その赤っ面の岩永が、人形振りなんです。

 文楽人形に扮し、人形のような動きで演技します。一人だけね。

 この演出、動きの少ない舞台にあって、絶妙のアクセントになっているんです。

 こんなとこにも数百年の年月の中で洗練されてきた歌舞伎演出の奥の深さを感じてしまいます。

 玉三郎さまですか?

 そらもう、言うまでもなし。

 この難曲の一幕を、見事に演じきってらっしゃいます。

 ここ何年か、まるでし納めのような舞台を次々と見せている玉三郎さまですが、まだまだ元気で、素晴らしい舞台を見せてほしいものです。

 なんといっても、当代随一の女形であることに変わりありませんから。

 で、間に、もうすぐ菊五郎を襲名する菊之助と七之助による江島生島の所作物ものをはさんで、お待ちかね、文七元結です。

 これ、幕末期の名人噺家・圓朝が、お客さんからお題をもらって、即興でお話を作る三題話がもとになっているお芝居です。

 即興でこんなお話作っちゃうの?

 圓朝って、どんだけ天才だったんでしょ。

 落語のほうでは、とっしょり蒼辰おすすめなのは、故志ん朝が、TBSテレビで演じた映像が、DVD化されてます。

 これ、名演と、とっしょり蒼辰が言ってます。

 興味のある方は、できれば歌舞伎の舞台と落語、見比べてくださいまし。

 それはともかく、勘九郎ちゃん初役の左官・長兵衛をセンターにした中村屋一座による文七元結。

 う~ん・・・。

 って、あれ? とっしょり蒼辰、うなっちゃったよ。

 どした?

 いい舞台だったんですよ。

 中村屋のお芝居らしい、笑わせるとこは徹底して笑わせるサービス精神も生きてるし、勘九郎の出来も、力み過ぎず、上々の長兵衛でした。

 でも、それでも、敢えて言えば、やっぱまだ一座としてこなれてないかなぁ・・・。

 と、そうとっしょり蒼辰は言ってます。

 それさ、あれだよ。

 蒼辰の目には、十八世勘三郎とその一座の、娘お久を当の現・勘九郎、当時の勘太郎が演じていた、あの舞台が焼き付いてるからですよ。

 お祖父ちゃんも、お父っつあんもずんぐりむっくりだったのに、勘九郎はすらっとしててって、そんなこと言ったって。

 そこは、演技の力と、自分にしかない個性を磨くことで、先代先々代を越えてくもんなんですよ。

 はい。そういうわけで、上々ではあったけど、もっともっとこなれた舞台を、近い将来見たいなぁと期待をこめたいと思います。

 できれば、令和中村座とかのテントでね。

 どの役者さんも、それぞれの役にはまってる中で、目を引いたのは鶴松の文七でした。

 十八世の部屋子という経歴の鶴松、中村屋贔屓はみんな応援してるんですよね。

 さらに成長を期待したい役者さんです。

 さて、勘九郎・七之助の一座で、歌舞伎座での文七元結を見たら、中村屋贔屓の次の期待は?

 そら、十九世への襲名と、そして、髪結新三じゃござんせんでしょうか。

 楽しみにしたいと思います。

 てなわけで本日はここまででっす。

 週が明けて、火曜雑学は春の2回目。

 そして金曜は?

 また別のご報告です。

 ほいでわまたっ。

 ちゃみでしたっ。