天使に恋は難しい ~32~ | 櫻葉と嵐を愛し、画く世界

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「ここ、は?」


う〜ん
ここでもないのかぁ…


「じゃ、あっち…探してみよっか?」


出勤前も
帰宅前も足を使って捜し廻ってみたものの
ことごとく空振り


でも乗りかかった船だ

オレが今ここで匙を投げたら
この子はずっと独りぼっちで彷徨い続けるだろう

それじゃあまりにも可哀想だ


幸い翔ちゃんはオレが連日朝早く家を出ることも
帰りがりが遅いことにも何も言わない


明日は休日

公園から少し離れた場所も捜してみよう



〜翌日〜

おにぎりと水筒を持って
朝からあちこちの空き家の捜索にあたる


「…ここにも居ない?」


雑草を掻き分けた庭にも
ガラスの割れた窓を覗いても
どこにも見あたらず…


この日もとうとう陽が暮れ始めた


「ごめんね… 見つけられなくて」


疲労困憊で地面にへたりながら
頭を撫で話しかける


あ〜あ
オレに天使の頃みたいな力があったら
こんな悲しそうな遠吠えさせずにすんだのに…


悔しさと切なさで胸が苦しくなり

首にぶら下げたオルゴールボールを
キュッと握った


すると
オルゴールボールから一筋の光が射し
頭の中に声が響いた


〝ニシヘ イケ〟


西へ、行け、ってこと?



でもこの声…
どっかで聴いたような気が…


手のひらのオルゴールボールを耳にあて
もう一度声を聴こうとしたら
尻尾が光射す方へダッシュした


「あっ!ちょっと待って!!」


踏ん張って立ち上がり
オレも跡を追いかけた



そして
土手の急斜面を滑るように降りると


そこには
川のほとりで飼い主に抱きしめられ喜ぶ尻尾の姿が



やっと逢えたんだぁ…よかった



これで虹の橋、一緒に渡れるね


あの世でもうはぐれちゃダメだよ









消えてゆく二つの影を視送りながら

そう願わずにいられなかった






つづく……



天使でなくても天使のお仕事したんだね🪽
雅紀くん✨