階段の足音は
「さ…くらいさんっ」
だった
『何があった⁈』
「っ…」
人間の櫻井さんにどこまで話したらいいのか…
黒い影に足首を掴まれて部屋に引き摺り込まれそうになってました、、
なんて言っても信じてもらえないだろうし
とりあえず部屋が荒らされていたことだけ
冷静に伝えたつもりだった
けど
あれ？
声が
震えて
うまく
しゃべれない
オレの説明じゃ埒が明かないと思ったのか
櫻井さんは玄関のドアを開けて部屋に入って行った
ダメぇぇえ！！！！ 危ないっ！！！！！！
櫻井さんを引き止めようとしたけど
声帯が引っ付いたみたいに閉じて
咄嗟に声が出なかった
追いかけたくても
足にまだ力がぜんぜん戻ってこない
這いつくばって
何とか玄関を上がった時には
櫻井さんがスマホを片手に目の前に立っていた
荒らされた現場(部屋)の証拠写真を撮ってくれたらしい
その後は警察への連絡もしてくれ
現場検証も被害届の提出も櫻井さんが
付き添ってくれた
もう
昨日からずっと
櫻井さんには助けてもらいっぱなし
自分で自分の身を護ることができないなんて
ホントつくづく情けないよっっ
ま…
天使だった頃もしょっちゅうこんな風に危ない目には合ってて
でも
不思議といつも
ギリギリなタイミングで回避できていたんだよなぁ
なんて思いつつ
これからの生活…どうしよう…
と考えながら
警察署からの帰り道を歩いていたら
なんと！！
櫻井さんが
『俺んちに来い』と
誘ってくれたのだった
つづく……
翔さんsideと
内容ちょっとかぶってるけど
あの時雅紀くんは、と思いながら
読んでくれたら嬉しいです