7時過ぎ頃に、カーナビの指す場所に到着した。辺りは既に暗い。住宅街だが、表札が暗くてよく見えない。
そこへ運良く反対側の家の駐車場に入れる車がいた。降りて来るのを見計らって、聞いてみた。そうしたら、カーナビの指した場所が探している彼の家で、奥が自宅で道路側は工場だと教えてくれた。
表札はなかった。車を工場の敷地に置かせてもらって、一緒に自宅の呼び鈴を押したが、応答がない。隣の工場の奥に明かりがついている。ひょっとして?と思いガラス戸を開けて、先に中に入っていってみた。
一杯飲みながら、テレビを見ている彼がいた。ひと目で彼だと分かった。
「おーい。いたぞ~」と叫んでしまった。間違いなく彼だ。不明の彼は、瞬間キョトンとしていたが、名を名乗るとふっとあの頃の彼になった。
後から入って来たA君と久しぶりのご対面となった。
この二人は中学生の頃、一緒に大阪に自転車で行こうと、台東区の自宅から大阪に向かって旅をした仲だそうで、その思い出話で、すぐにあの頃に戻っていった。
しかし、箱根の山に登ってみて、大阪までは断念して引き返すことにしたそうだ。そして、帰りの下り道で、スピードが付き過ぎて、前の車を避けようとした時に、不明の彼が倒れ、その後に続いたA君も転倒し、互いに、お腹に怪我をしたと言っていた。そして、不明の彼がアルバムを持って来た。
開いたページの中央に一緒に来たA君が一人で写っている。そして、はずした写真の裏には、不明の彼の字で、箱根山にてと記されていた。さらに、その時のお腹のキズがまだ残っていると言って、服をめくり、お腹を出した。確かにそのキズはあった。
今まで、大切に写真を保存していた様子が見て取れる。その思いに触れた時、不明の彼の心の中のA君への思いが伝わって来た。二人だけの思い出として大切に今まで持っていたんだ。彼は、当時から口は悪いが、気持ちはいい奴だった。
さらに、アルバムには小学校の集合写真がたくさんあった。そこにはあの頃の級友たちがいた。みんなちょっと緊張した元気な顔が写っている。みんな遊んだあの頃の仲間がいる。その友にこうして会えたのは、何とも言いようがない。二人の話は尽きなかった。
人生で、今までいろいろなことが自分を含め、それぞれあったと思う。でもこうして、元気で、また出会えた喜びは、それぞれの心の中に筆舌しがたいものがあると感じた。
この二人の再会に立ち会って、クラス会の幹事の醍醐味を再確信した。9時過ぎに不明だった彼と別れ、幹事のA君と帰路についた。実に感動したシーンだった。