副住職に(あ と が き)を見せて間違いの指摘を頼んだ。

ハラスメントの説明で「地位や立場によって」と書いたが、それはパワハラの説明になるのではないかと言われた。

パワハラ以外でも「地位や立場」は関わるかも知れないが、「地位や立場」が関わらないハラスメントもあるかも知れない。

「どう書き換えようか」と言ったら、「辞書を調べれば良いじゃない」との返事だった。辞書を調べた結果が、下記になると思う、多分、最終稿。

 

 

◇ハラスメントという事が言われるようになったのはいつごろからだろうか。意味は人に対する「嫌がらせ」「いじめ」で、広義には「人権侵害」を意味し性別、年齢、人種、民族、身体的特徴等の属性や人格に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけることを指す。近年の法改正で職場におけるパワハラやセクハラ等の対策が事業主に義務付けられた。職場環境を良くしようとする意味なのだが、そこから派生してあらゆる場で考慮適用されるようになった◇「いじめ」は自死まで行くこともあり、命に関わることだ。どんな人にでも人としての尊厳は守らなければならないし、相手に不快感や不利益を与えないのは当然と言えば当然。人と対応する時、コンプライアンスが厳しい令和の時代は昭和の感覚で話してはいけないことが多い。法事や葬儀で檀家さんやその親戚の人と話すとき、既婚未婚や子どもがいるいないの話を軽々にできない。こういうことは個人の選択や事情によることで、場合によっては傷つく人もいる◇最近よく聞かれるのがカスタマーハラスメント(略してカスハラ)。これは客による悪質なクレーム、攻撃的・威圧的な言動・居座るなどの執拗な言動・従業員個人への攻撃・要求など。これなども、客の方で「して頂いた」という気持ちでいれば良い。例えば食堂だったら出る時に「ごちそうさまでした」の一声が欲しいし、私の良く行くラーメン屋さんでは「美味しかったよ」を加えてまで言っている人もいる◇こういうさまざまなハラスメントの存在を知っている事で、気を付けることがある。喫煙者の私は煙草の煙で非喫煙者に迷惑をかけるスモークハラスメント(略してスモハラ)。その臭いで他人に(妻に)不快な思いをさせてしまう行為をスメルハラスメント(略してスメハラ)。不機嫌になる事の多い昨今、不機嫌な態度や表情、ため息を繰り返し相手に精神的苦痛を与える不機嫌ハラスメント(略してフキハラ)。さまざまなハラスメントの存在はさまざまな人を理解するために必要なのかも知れない◇人種や民族、国籍にまつわる差別や嫌がらせはレイシャルハラスメント。性的指向や性自認に関連したものをSOGIハラスメントという。この二つに限らないが、他を認め尊重する心で接して解決したいものだ◇ハラスメントはこれをやると苦しむ人や辛く思う人が出るがゆえに、自利利他を目指す仏教徒としては、やらないことは勿論、ハラスメントなき社会を目指したい。(亮昌)