「光明院通信」お盆号172号の「あとがき」を書いた。

 

〈あとがき〉

◇バスの中で煙草を喫いだした人がいた。

他の乗客は大騒ぎになり、注意しようとした人には、危険人物に関わらない方が良いと周りの人は制止した。これは今年放送されたテレビドラマ「不適切にもほどがある」(作・宮藤官九郎)の冒頭の一シーン。バスの中で煙草を喫ったのは昭和六十一年から約四十年後の令和の現代にタイムスリップした阿部サダヲが演ずる中学の体育教師で野球部顧問の男。昭和の時代はバスの中だけでなく、喫煙場所は沢山あった。今は殆どない◇タバコ以外にもコンプライアンスが厳しい令和の時代は昭和とは違ったものが多い。地位や立場を利用した嫌がらせであるハラスメントを防止する流れになっている現在は、教師の立場を思えばケツバットやグランド何周廻れの指導は生徒に対するパワハラになるし、その前に体罰として問題だろう◇喫煙場所制限という時代の特性もあるが、いつの時代でも通じる善行もある。仏教における基本となる約束事である十善戒などもその一つ。その第一は、むやみに生き物を傷つけたり殺さないで、あらゆる生命を尊重しようという不殺生。二番目は他人の財物を盗まないという不偸盗。三番目は不邪淫なのだが、今までは、男女の道を乱さないと説明されていたが、今は同性婚の現実もあるので、男女を外してお互いを尊敬しあおうという事になっている。四番目は不妄語で正直に話そう嘘をつかないということ。五番目に無意味なおしゃべりをしないという不綺語。六番目に優しい言葉を使おう、乱暴な言葉を使わないという不悪口。七番目に他人の仲を裂く言葉は言わないという不両舌。八番目は欲深いことをしない不慳貪(ふけんどん)。九番目は不瞋恚(ふしんに)で耐え忍んで怒らない。にこやかに暮らそうということ。十番目には不邪見で、これは仏が教える因果の道理を信じ正しく判断しようということ◇カスタマーハラスメントがいま話題になっている。客による悪質なクレームで土下座しろ、慰謝料払ったら許してやるなどの攻撃的・威圧的な言動、従業員個人への攻撃をいう。仏の素養の大きな一つは他者への心配りなので仏教徒はやらない。レイシャルハラスメントは人種や民族、国籍にまつわる差別や嫌がらせ。多文化共生は仏の教えでもある。ハラスメントは人に対する「嫌がらせ」でいじめである。仏の厳しく禁じたものである。この十善戒を守ることでハラスメントの加害者にはならないのは勿論、被害者になっても心の痛手は少ない人格となるだろう。(亮昌)

 

家族に見せたが、前半の「不適切にもほどがある」の文章と十善戒の事がつながらないと言われた。書いている私自身もそう思いながら、書いてしまった。

 

それに、不綺語の説明で、「無意味なおしゃべりをしない」がどうなのだろうと疑問を呈された。親しくなるためには無意味なおしゃべりも必要なこともあるのではないかと、言われた。9番目の不瞋恚の説明で「耐え忍んで怒らない」と書いたが、怒ることも必要な時もあるのではないの?とも言われた。

さらに結論「被害者になっても心の痛手は少ない人格となるだろう」もおかしいと言われた。

 

そうだなぁという事で、書き直すことにした。