「チョウチョ」
加 藤 高 穂
蒼天に白蝶吸はれ消へにけり
孫を見ていると、男の子は女の子に比べ、幼時より機械や動物、虫などの生きものに、興味をそそられるようだ。
五月の連休期間、息子・娘たちが家族揃って里帰りをしてくれた。そんな一日、父母の墓参りに行ったのである。宝満川に流れそそぐ山口川上流。山間の小さな墓に着くと、鶯の声を運んでくる初夏の風が心地よい。讃美歌を歌い、主の祈りを捧げ、いざ帰ろうかというときだった。
「イボガエルがいるよ」との父親の声に、四歳の孫が反応した。おっかなびっくりしながらも、ようやく捕まえたらしい。小さな手にそっと握った獲物を、誇らしそうに見せてくれた。
それでも、「カエルさんのお友だちが寂しがるから、元の所に返してあげよう」という母親の声に頷くと、ちょこちょこと駆けていき、空手で戻ってきた。
去年までは、だんご虫に興味を示していたのに…と、一年間の成長を垣間見るようだ。自宅ではカブトムシを飼っているらしい。
「幼虫も沢山いるよ」との声に、「カブトムシの幼虫、美味しい?」と聞けば、「幼虫は食べれないよ!」と、嬉しそうに笑いながらの答えが返ってきた。
家に帰ってからの、孫と娘の会話。
「ボク、動物園に行ったよ」
「何がいた?」
「チョウチョ!」
この元気一杯の返事に、娘が笑い転げた。象さんやキリンさん、ライオンやトラよりも、動物園で見かけた蝶の方が、よほど印象的で嬉しかったらしい。
〔2017.5.20.〕