「夏雲に想う」
加 藤 高 穂
すくすくと育つ幼や夏の雲
若鮎の躍る絵皿に枇杷二つ
今年のゴールデン・ウイークは、珍しく東京の娘が帰省できず、広島の孫娘が試験でこれなかったものの、子供たち家族が泊りがけで里帰りをしてくれた。いつもは妻と二人だけの食卓を14人で囲むと、若々しい活気にあふれる。
初孫である孫娘は、今春、神戸の大学を卒業。生まれ育った故郷の市役所に勤務することになった。彼女の父親が、わが家の次男として、長男誕生の翌年に生まれた時のことである。横浜のK姉が、旅費その他一切を自己負担の上、一週間も加勢に来て下さった日のことが、感謝の心も新たに甦ってくる。
牧師河野博範先生が、出産直後の妻と幼な子二人のいるわが家は大変だろうと、声を掛けて下さった。それを有難いことにK夫人は勿論、御夫君を始めとするご家族全員が、諸手を上げて賛成されたのである。
K夫妻との出会いは、イエス様の大いなる恵みと祝福の中に、当時、小学生だったご長女とご長男が、教会学校に通っていたのが機縁となり、御家族全員が受洗。教会の仲間となられた頃に始まる。
教会学校教師の端くれでしかなかった私と妻子のため、御一家挙って協力して下さったそこには、唯々、イエス様の愛と恵みの先立ちを覚えるばかりである。若く美しく、溌剌としておられたK姉も卒寿をとっくに超え、目も耳も遠くなり、教会からの印刷物を遠慮されることになった。なればこそ、文字には納めきれない祈りと讃美の通いの中に、共に生かされたいとの思い頻りである。