第1640回 ドイツ軍 最高司令部作戦部長 アルフレート・ヨードル陸軍少将
2022年6月8日 水曜日の投稿です。
ファルゲルブ作戦 第55話
【 ドイツ軍 最高司令部作戦部長 アルフレート・ヨードル陸軍少将】
【 前話 第1638話の続きより。】
1940年2月17日、ヒットラー総統の食事会などと言う名目で集められた、
ドイツ陸軍の高官達は、多いに驚き、ヒットラー総統の名代として、一介の少将
である アルフレート・ヨードル陸軍少将が、最高司令部作戦部長などと言う
役職について、ドイツ国防軍参謀本部の上に立って、ヒットラー総統の名代と
して、当時計画されていたすべての作戦を統帥すると発表されたのです。
そして、もめ事でポーランドに転出させられていた、元A軍集団参謀長で
あった、マインシュタイン陸軍中将が対フランス作戦の説明をヒットラー総統
に対して始めたのです。
【 エーリッヒ・フォン・マインシュタイン陸軍中将】
説明があった、マインシュタイン陸軍中将の作戦の粗筋は3通りで、
こうでありました。
◎1つ。
ボック陸軍大将が指揮する ドイツB軍集団は、ドイツの国境から
ドイツ空軍の支援攻撃を受けながら、中立国 オランダ王国に侵入し、
これを占領する。
【ドイツ陸軍 B軍集団 司令官 ボック大将 】
その後、南下して、ベルギー国境に進出して、連合軍に備える。
中立国 ベルギー王国は、フランスとイギリスに援軍を要請し、
連合軍をボック大将のB軍集団に引きつける。
推定ですが、連合軍の兵力は、ベルギー王国の兵力を加えて、約40万人
程度と思われます。
「 つまり、ボック大将のB軍集団は囮部隊と言うことか。」
「総統、その通りです。」
イギリス、フランスなどの連合軍は必ず、ベルギーを押さえに北上して
来るでしょう。
ベルギー王国に入ったら、後方の川の橋を爆撃して、破壊して孤立させます。
◎ その2
連合軍がベルギーに入って身動きが取れなくなったところに、
ルントショテット大将の指揮する、ドイツA軍集団がアルデンヌの森を通過
して、背後から、襲います。
【 ドイツ陸軍 A軍集団 司令官 ゲルトフォン・ルントショテット大将 】
ドイツ国境から、アルデンヌの森を通過して、アントワープに出て
そこから海岸に出て、ダンケルクなどを押さえます。
◎その3
レープ大将のC軍集団は、 マジノラインの要塞地帯と対峙してフランス
軍に砲撃を繰り返し、大軍がいると見せかけて、これを牽制します。
C軍集団が、上手に牽制すれば、フランス軍も マジノラインで動けない
でしょう。
【 ドイツ陸軍 C軍集団司令官 ヴィルヘルム・フォン・レープ大将 】
こうして、マインシュタイン陸軍中将によって、ドイツ西部方面の陸軍は、
A軍集団、B軍集団、C軍集団に分けられ、それぞれの任務を与えられ、
フランス侵攻作戦が開始されることになって行ったのです。
この作戦は、後に、ファルゲルプ作戦と名付けられ、極秘事項として、
1部の人しか知らされず、厳重な監視が行われて行ったのです。
そして、ドイツ軍に入り込んでいた、フランスや、イギリスのスパイ達は、
ドイツ陸軍参謀本部が計画していた、ベルギー王国侵攻作戦を本物と思い
込んで、その情報を本国に送っていたのです。
第1次世界大戦で、ドイツ帝国陸軍は、ベルギー王国に出て、フランスに向かって
南下して来たので、当時のフランス軍の司令部は、今回もドイツ軍がベルギー
方面に出て来ると考えていたようです。
そのような事情から、雪が溶けて、天候が回復したら、ベルギーに兵力を
進めて、有利な陣地を構築して、ドイツ軍を待ち受けようと作戦を立てていた
そうです。
今まで、ドイツ陸軍参謀本部で作戦が計画されていたのですが、全部、
ヨードル陸軍少将が取りまとめて、ヒットラー総統がそれを追認すると言う
ことがこの年から始まって行ったのです。
これらの事から、戦況が大勝利の連続であった初期はそうでもなかったのですが
戦況が悪化するにつれ、陸軍の中では、ヒットラー総統を殺害して、ドイツの
破滅を防ごうという将軍達が姿を現して行くのです。
何しろ、師団単位の兵力の移動は、すべて ヒットラー総統の許可がないと
動かせず、守らなかったら銃殺刑に処せられたのです。
つまり、ヒットラー総統が死守しろと命令していて、弾薬が亡くなり、
勝手に許可無く退却してしまうとどんな身分の高官でも処刑されたのです。
そんなことが続いて、ヒットラー総統を暗殺することを考える軍人が
出て来たのです。
【 次回に続く。】