第802回【判例】町内会の会長らの不法行為に対する
損害金請求裁判の判決について。
2021年5月30日 日曜日の投稿です。
発信者 岡山県岡山市東区平島団地 齋藤町内会長から
電子メールでの一斉送信です。
受信者 登録各世帯様
要 旨 町内会役員と自称する人物の不法行為についての
裁判の判決文の説明です。
【 詳細 後記参照の事。】
「町内のある特定の世帯に対して、町内会の役員と名乗り、
嫌がらせなどを行ってはならない。」
と、いう裁判の判決文の説明です。
判決日 令和3年5月25日 火曜日
事件番号 平成30年【ワ】第91号 他
事件名 損害賠償請求事件
裁判所 大分地方裁判所 中津支部
裁判長 志賀 勝 裁判官
主文 被告① 大分県宇佐市代表者 市長への原告の損害金
の請求を棄却する。
被告②③④に3名連帯して金百拾万円の支払いを命じる。
被告④ 金参拾参万円の支払いを命じる。
当裁判所の判断
1
被告① 大分県宇佐市には、民法に規定されている
被告②③④に対する労働契約などは存在せず宇佐市の
使用者責任は認められない。
よって、理由が無いので、原告の損害賠償請求を棄却する。
2
被告 ② ③ ④の3名は、社会通念上許されない人権侵害
の不法行為があった。
3名連帯して、金110万円を原告に支払え。
3
被告④は、原告の通行を妨害しようと道路上にパイロンなどを
設置し、不法行為があったと認定し、被告④は、原告に対して、
金33万円の支払いを命じる。
4
自治会は、原告が住民票を移していないことを理由に、
原告を構成員と認めない
「共同断交。」
の決議を役員会と称する会で行い、市報や冠婚葬祭の
連絡を故意に行わず、周囲の住民に対して、
「 原告と話をするな。」
などと、自治会として呼びかけを行った。
大分県弁護士会が、
「 人権侵害だ。」
として是正勧告を自治会代表者に行ったが、
自治会はこの是正勧告を無視した。
こうした行為が原告の平穏に暮らす人格権を
侵害した事は疑いようのない事実で、
断交決議も一方的で原告の精神的苦痛の
慰謝料を認める。
5
自治区への加入は区内に住んでいれば足り、
住民票の有無は問われない。
【 解説 】
この損害金請求裁判の判例は、大分県宇佐市の
Aと言う地区で、町内会こと自治会の区長及び
それに従う役員らが、原告に対して、自治会への
加入を制限を加え、宇佐市の市報や、宇佐市役所
からの連絡事項などの回覧板を故意に原告に
手渡さず、冠婚葬祭の連絡などについても故意に
行わず、原告の近隣の住民に対して、
「あいつと話をするな。」
と呼びかけ、原告を孤立させる不法行為を行った。
そして原告の家の周囲の道路に、被告④は、
カラーコーンなどを設置して、原告の
通行を妨害し、通行を妨げた行為を行った。
以上のような出来事の後に、原告法定代理人が、
弁護士会を通じて、人権侵害として是正勧告を
被告らに行った。
被告らは、これらの是正勧告を無視した。
原告は、宇佐市役所 代表者 市長を被告①
とし、自治会の会長及び役員を被告②③④に指定し、
損害金330万円を請求する裁判を起こした。
1
「市報などを受け取れなかった。」
「自治会への管理監督責任がある。」
として宇佐市役所に対して、慰謝料を請求したが
棄却された。
1‐1
民法 第七百十五条【使用者等の責任】
ある事業のために他人を使用する者は、被用者が
その事業の執行について、第三者に加えた損害を賠償
する責任を負う。
この法律を根拠に、大分県宇佐市の代表者の市長を
被告にして、損害金の請求を行ったようですが棄却され
ました。
理由は、 自治会の会長 被告② 役員 ③及び④
に対して、労働契約を結んで給与等支払いを行って
おらず、被告① 宇佐市役所は、被告②及び、
③及び、④の使用者には該当しない。
1‐2
国家賠償法 第一条 に基ずく損害賠償請求についても、
公務員が、ただただ日々漫然と業務を行い、業務中怠慢が
あったとは認められない。
つまり、宇佐市役所の知らない場所で、 自治会役員の
被告②、③、④が一方的に行った行為で、被告①の
宇佐市役所は、その行為を管理監督する立場にはなかった。
2
被告 ②及び③及び④の不法行為について。
2‐1
民法 第七百九条 【不法行為による損害賠償】
故意又は、過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を
侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2‐2
民法 第七百十九条 【共同不法行為者の責任】
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えた時は、各自が
連帯してその損害を賠償する責任を負う。
共同行為者のうち、いずれの者がその損害を加えたのかを
知ることが出来ないときも同様とする。
二項
行為者を教唆した者及びほう助した者は、共同行為者と
みなして前項の規定を適用する。
以上のような法律に基づいて、地域社会において、
特定の世帯に対して、自治会の会長や、それに従う
役員が、日常嫌がらせ等繰り返していた行為に
ついて 大分地方裁判所 中津支部で審理が行われ、
3名の被告②③④に対して、連帯して110万円の
損害賠償金の支払いが命じられ、さらに、被告④に
ついては、調子に乗って道路上にカラーコーンなどを
置いて、原告の通行を妨害した行為が不法行為として
認定され、追加して、被告④に対して、33万円の
損害金の支払いが命じられました。
3 結語
地域の自治会こと 町内会で、ある特定の世帯に対して、
市報や、行政機関からの回覧板などを途中で止めて、見せない
ようにしたり、冠婚葬祭の連絡などを意図的に行わなかったり、
近所の世帯に、
「あの家と話をするな、挨拶もするな。」
などと呼びかけたりすると、損害賠償請求が認められるとの
司法判断があったと思います。
これらの判例を参考に、 町内会の運営については、
よく配慮して、これを行うことが大切であると思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ところで、全国の閲覧者の中で、町内会又は、
自治会の人間から嫌がらせを受けている人が
いらっしゃったら、この記事の文章をプリントアウトして、
相手に見せて、やめるように平穏にお話ししていただけたら
と思います。
町内会の役員は、身分が高い訳ではなく、周囲を見つめて、
自分の事は後回しにして、他の立場の弱い人の事を考え、
配慮し、みなさんが平等になるように、そういうことを
心がけて、日々、活動や、物事を行うことが大切です。
大勢の中には、不法行為を繰り返し、治安を乱す人物も
いることはありますが、そう言う特殊な事案は別として、
普段は、皆さんのことを考えて活動を行うことを心がけて
いただけたらと思っています。
【 次回に続く。】 【 転載コピー自由です。】