『一億総中流』と言われた高度経済成長期に育ったみね子さんの娘

団地族の仲間入りをした頃からお稽古合戦が始まった


そろばん、お習字、ピアノ、バレエ等など、団地の集会所には日替りで習い事が繰り広げられた


生徒を集めたい先生たちは集会所のカーテンを明け放ち、買い物帰りのお母さんたちや学校帰りの子どもたちに「見ていって」とばかりに宣伝する


みね子さんの娘も習い事を始めるのだが、始める時の条件がある

「あんたがやりたいって言ったんやで、最後までやらんと辞められへんからな、ええな」 (こわ〜)


そうして始めたお稽古がピアノと習字


ピアノは以前にも書いたが、団地の2階が先生のお宅だった

習字はお揃いのカバンを持って友だちが書道教室に通うのを尻目に、みね子さんが見つけた先生とマンツーマンのお稽古が始まった


同じ団地の先生のお宅へ みね子さんも同行する

お稽古している側に座って、先生の言うことにみね子さんがうなずき、娘がボーッとしていたら そ〜っと膝をツンツン

帰ってきたら毎日何十枚もおさらい


みね子さんは毎回『講義』を受けているから、自分では書けなくても理屈がわかってくる

娘の練習中にもあぁだこぅだと指導が入る


初めのうちは不貞腐れながらも「わかった」と言ってた娘だが、ある時とうとう言ってはいけないひと言を発してしまった


「ほんならお母ちゃんが書いてみぃや!!」


その時のみね子さんの何ともいえない表情を忘れることができないみね子さんの娘

怒りでもない悲しみでもない切ないでもない…表現できない


みね子さんの気持ちは想像するしかないけれど、今でも続けている書道で思い通りに筆が運ばない時、ふと あのみね子さんの表情を思い出す


お母ちゃん ごめんな


今日は母の日