8:正規計量とローレンツ群(4)

 

 これはすでに指摘していることですが、対象の存在に限界があるため、一定の部分空間を使ってスケールを無限に分割するという理想的な要求を満足することは出来ません。また、対象の存在に限界があることによって別の結果も発生します。

 観測者はすべて限られた部分空間に存在する対象です。観測者は自らの存在を使って与えられた部分空間に属する測定単位を実現しています。つまり、対象である自分の存在を1本の曲線を使って描くことによって、観測者は時間線と呼ばれる1本の座標線を引いているのです。

 対象が存在している部分空間(つまり、時空間全体)中にある点においては、スケールはたとえ近似的に理想的であろうと、存在の部分空間の中のある方向のみに位置しています。この点においては方向は同等ではありません。

 私たちは時空間を完全に測定するために必要なスケールを別に直接作ることは出来ません。このスケールを存在させるとなると、私たちは自分の存在に関する実験からではなく、別の実験、運動や光学現象の実験、あるいは他の対象と相互作用させる実験などを実施することによって導入しなければなりません。

 これは私たち(すべての観測者)にとって座標が必然的な方法で2つのグループから成っていることを意味しています。その1つは、時間座標(t)から成っています。つまり結果が直接測定することによって得られるため、私たちにとってこのグループは現実的なものと言えます。2つめの座標は空間座標(x)から成るグループですが、これは空想的なものです。ここでの空想的は、この座標を直接測定することによって作ることが出来ないということを意味しています。

 この空想的座標を直接測定するとなると恐らく、瞬間ごとに私たちの座標を取り出し、そして実際に存在する時間線に直交するように存在させねばなりません。ただし、ここでの「直交」には理想的な空間測定がすべて瞬間的に行われねばならないこと、空間的なスケールが時間を超越して存在しなければならないことという意味が含まれています。しかし、実は私たちにとって存在と時間のこの2つの用語は完全に同義語なのです。

 この考えは実在世界の与えられた領域を記述しているすべての観測者に対して成り立っています。直接実現されるすべての観測者のスケールは完全に理想的な測定法と

理想的なスケールと同じような関係になければなりません。これは方向を連続的に変えることによって任意の観測者の直接実現しているスケールから別の観測者の直接実現しているスケールに正規区間の2乗δs(-)<2>の符号を変えることなく移行出来ることを意味しています。

 ここです。直接実現されるスケールを実現されないスケールにしたり、またその逆にすることは、いかなる方法をもってしても不可能なのです。すべてのスケールは非理想的であることによって、同じことの繰り返しになりますが、2つの関連性のないグループに分けられているわけです。つまりここでは、他のスケールが直接実在化されない状況を、実現される時間のスケールのノルムの2乗の符号と異なった符号を持たせることによって描いているわけです。

 しかし、このような描像では空間的スケールと時間的スケールの間に方向の等方性という壁が立ちはだかっています。スケールが存在しない方向が出来るのです。スカラー・パラメーターはスケールをそれ自身(その任意の成分)で測定した結果であり、スケールが存在する所ではゼロに収束出来ません。