5:存在の方程式(1)
一定の部分空間を使って対象の存在に制限を加える場合、この対象を記述するために数学的な対象を補足的に使わなければなりません。存在の部分空間のサイズがゼロでないとき、この部分空間の内部座標について議論することが出来ます。と言いましたが、さて、この内部座標とは一体何なんでしょう。この座標は私たちが空間全体に対して(正確には空間の領域に対して)持っている座標とどのような関係にあるのでしょう。まず、この座標について議論しましょう。
対象が存在する部分空間の中でその対象をその成分で測定すると(他の対象は考慮していません)、この部分空間は1次元空間に射影されます。実は、この1次元空間はすでに時空間の中に入っていて、曲線と呼ばれています。これが座標軸となるのです。
ここで、この曲線を使った座標は次元を持っているのか、この座標に測定に使った対象の名前を付けられるのか、それから、時空間(その領域)全体で測定法を変えたとき、座標も変化するのかという問題が出て来ます。答えは「ノー」です。なぜなら、内部座標を得るために使われている対象がつねに同じだからです。
もちろん、対象の代わりに対象の成分や対象の非線形関数を使うことが出来ます。しかし、同じ対象の表示の選択に限りがあるため、内部自由度は一般座標系の変換には関係していません。それから、一般座標系(測定法)の観点からすると、この内部座標はスカラーで、不変量です。あらゆる可能な内部座標はスカラーなのです。
確認しましょう。これはすでに議論したことですが、スカラーは無次元量で、測定は間接的な方法で行われます。ここでスカラーが直接測定することによって求められ、しかも次元があると仮定しましょう。もちろん、これでも矛盾しません。単純に無次元量と次元量の2つの量があると考えれば済むことだからです。
たとえば、ここで確定された一方の対象だけがスケールとして利用出来るとしましょう。この場合は無次元のスカラーが与えられます。では、もう一方の別の対象をスケールとし、これを使って対象の比較作業をした場合はどうでしょう。この場合も無次元のスカラーが与えられます。しかし、実は、この場合、それぞれのスカラーがそれぞれの直線上に表されるため、結果として比較される対象は次元量としての座標の意味を持つことになるのです。
こうして私たちはこの種の座標系に階層(クラス)を与えることになります。この階層の中の座標直線の1つが対象が存在する部分空間の曲線と一致する形で、つねに存在するようになるのです。繰り返しますが、この階層は与えられた対象(その成分やその非線形関数)をスケールとして測定に使うことによって形成されています。
幾何学ではこのような内部座標はスカラー・パラメーターと呼ばれ、広く利用されています。たとえば、それぞれの対象にこのようなパラメーターとして「t」などが少なくとも1つ付けられています。なお、このパラメーターは、存在の部分空間の座標系に在る曲線を別のパラメーター「s=s(t)」でパラメーター化出来るので、この意味で「t」だけとは限りません。
ただし、ここではds/dtが存在し、しかも、これがパラメーター「t」の定義領域のいたる所でゼロと異なるという条件が付けられています。この条件はすでに議論した座標の微分可能性を行列式で表した次の式、すなわち、
Δ=det||∂x<i'>/∂x<i>||≠0
と同じです。なお、この式はパラメーターの交換によって曲線が点に縮退しないことを意味しています。
これらのすべてのパラメーターは、与えられた対象をその(対象の)中の成分を使って測定した結果を表しています。これらの測定は内部測定で、実在世界のそれ以外の対象の存在は無視しています。実は、内部測定と時空間全体での測定との間の結果を比較することによって私たちは内的対称性を破り、そしてスカラー・パラメーターの階層の幅をより狭くし、あるいは出来るだけ1つのスカラーに限定し、こうしてより理想的なモデルを追及しているいるのです。