KAAT『アドルフに告ぐ』のあらすじと感想です。
沢山の間違いとネタバレ、激しい私見をお許し下さい。
台詞は不正確です。
ご容赦下さい。
前回の続きです。
(第二次世界大戦の頃の日本とドイツの物語です)
雨の中を、小学校の教師である小城典子(岡野真那美さん)が現れれます。
彼女は、峠 草平(鶴見辰吾さん)に茶色の封筒に入った文書を渡し、去って行きます。
(←小城先生は、青い木綿の和服を着ています。
彼女は、アドルフ・カミル(松下洸平さん)の恩師です。
小城先生は、戦争に反対し反戦詩を発表したため、特高警察からつけ狙われていました。
彼女は、峠の殺された弟、勲の恩師でもありました。
そして勲は、ベルリン大学に留学中に入手した、ヒトラーの出世に関わる秘密文書を、先生に送っていたのです)
しかし、当時の日本とドイツは友邦国だったため、峠は、特高から文書を渡すことを要求されます。
それを拒否した峠は、厳しい圧力をかけられることになりました。
やがて峠は、仕事も宿も失ってしまいます。
そして、青く暗い雨の中を、特高の赤羽警部(市川しんぺーさん)が、困窮した峠の前に現れました。
赤羽警部「文書を渡さないと言うんなら、物乞いしてでも食えないようにしてやる!
この虫ケラが!!」
赤羽警部は、ごみ捨て場で、峠を傘で打ちすえます。
(←原作とは違って、このときの怪我により、峠は左腕が不自由になりました)
このままでは、文書が危ないと悟った峠は、文書を再び小城先生に預けます。
・その後、背景に
『1938年 カミルのパン屋』
の文字が浮かびます。
そして場面は、カミルの実家のパン屋に変わります。
(←カミルの店は、壁が明るい黄色で、右側の棚には、素朴で美味しそうなパンが並んでいます。
明るくて暖かい雰囲気のお店です)
そこに小城先生が訪ねて来ました。
そして先生は、カミル(松下洸平さん)に文書を預けます。
カミル「先生の頼みなら、どんなことだってやりまっせ!」
小城先生「あんたたちユダヤ人の運命を握る文書なんよ」
カミル「安心して下さい。
命に代えても守ります!」
小城先生は、お店から去ります。
その後、カミルの父親であるイザーク(石井愃一さん)が現れ、リトアニアに行くことを告げました。
イザーク「リトアニアでは、救いを求める同胞たちが、500人も立ち往生しているんだ」
(←ドイツがポーランドを侵略すると、凄まじいユダヤ人摘発が始まりました。
そのとき、神学校の生徒たち500人が、ポーランドを脱出し、ソ連の衛星国であるリトアニアに逃れ、身を潜めていたのです。
神戸のユダヤ人協会は、彼らを上海経由で神戸に連れて来て、その後、アメリカに亡命させる計画を立てていました)
大きな危険の伴う任務に、妻のマルテ(吉川亜紀子さん)は心配そうです。
マルテ「あなた…。
どうしても断れないの?」
カミル「ママ、応援しよう。
これは正しいことなんや」
しかし、カミルは迷います。
カミル「小城先生から預かったこの文書…。
これを見せたら、パパはリトアニアに行かんですむかもしれへん…。
あかん!
小城先生と約束したのに!
僕は誓いを守ります!」
カミルは一人、舞台の左側で茶封筒を抱きしめます。
しかし、このとき約束を守ったことにより、カミルは、二度と父親に再会できなくなりました…。
・場面は変わります。
舞台の左端には、リトアニアに着いたイザークが居ます。
彼は、重大な任務を背負って危険な敵地に入り、不安そうです。
そのとき、舞台の中央にアドルフ・ヒトラー(高橋 洋さん)が現れました。
舞台後方には、天井から床まで、縦長のナチスの赤い幕が降りています。
その前で、国民の大歓声に応えるヒトラー。
その後、舞台の右側に、ヒトラー・ユーゲントの制服を着たアドルフ・カウフマン(成河さん)が現れました。
・やがてヒトラーは去り、舞台は森の中に変わります。
舞台後方の背景には、緑の葉がうっそうと生い茂っています。
そこにナチスの親衛隊員、アイヒマン(斉藤直樹さん)が現れました。
アイヒマン「アドルフ・カウフマン!」
カウフマン「は、はい!」
アイヒマンは、カウフマンはドイツと日本の混血であるため、特別に忠誠心を試されることになった、と告げました。
アイヒマン「ここでケダモノを一匹、仕留めてみろ!」
すると、舞台後方の緑の前に、捕らえられたイザークが現れます。
カウフマン「パン屋のカミルさん?!」
イザーク「何だ?
カウフマンの坊っちゃん?!」
信じられない再会に、二人は驚きます。
しかしアイヒマンは、非情に告げました。
アイヒマン「人間と思うな。
豚だと思って撃て!」
イザーク「私が知り合いだと証明してくれ!」
アイヒマンとイザークの間で混乱し、パニックになるカウフマン。
そして、追いつめられたカウフマンは、ついにイザークに向けて、銃の引き金を引いてしまいます。
最初の銃弾が肩に当たり、イザークは苦しみます。
カウフマンは、のたうつイザークに、更に二発の銃弾を撃ち込み、彼を殺してしまいました。
その後、カウフマンは激しく嘔吐します。
(←このときカウフマンは、まだ中学生くらいの年齢です)
やがてカウフマンは、客席に向かって、母(朝海ひかるさん)への手紙を独白します。
(←内容を検閲されるため、実際には、この手紙を出すことは出来ません)
カウフマン「ママ、今日ぼくは、人間を殺しました。
一人目は、酷く手こずりました。
でも、二人目は楽に殺せました。
こんなことを手紙に書く僕は、頭がおかしくなったんだと思いますか?
あと2~3年もすれば、僕もSSかゲシュタポの隊員のように、ニヤリと笑ってユダヤ人を殺せるようになるんでしょうね…。
…ママ、僕はドイツ人だ!
忠誠心では、誰にも負けない!!」
いつの間にかカウフマンは、愛情の無かった父親の遺言を口に出していました。
そして、親友のカミルを守るためにドイツ行きを受け入れたカウフマンは、結果として彼の父親を殺してしまいます。
やがて、この殺人からカウフマンの運命は、取り返しのつかないところまで狂っていきました…。
(←成河さんのカウフマンは、とても繊細で幼くて純粋で、透き通るような悲しい目をしていました。
成河カウフマンは、常に地に足がついておらず、不安定に漂っているような印象です。
日本にもドイツにもアイデンティティを見出だせない思春期のカウフマンは、ナチスに融合することで、必死に自分の居場所を作ろうとしているようでした。
そして、パン屋のイザークおじさんを殺害することによって、カウフマンは、生まれ育った神戸での生活を永遠に喪失したのだと思います。
そのためにカウフマンは、『日本』を捨てて『ナチス・ドイツ』に一体化する以外に、生きる道が無くなりました。
その後、実の父親との関係が冷たかったカウフマンは、ヒトラー総統に『父親』を求めていくことになります…。
まだ続きます。
読んで下さって本当にありがとうございます。