空想組曲番外公演、『無意味な花園』のあらすじと感想です。
沢山の間違いとネタバレ、激しい私見をお許し下さい。
・(脚本、演出) ほさかよう さん
登場人物
・(姫沼のぞみ ・高校教師) 松本紀保さん
・(雨宮 涼 ・姫沼が副担任の高校生)
西井幸人さん
・(芝原律子 ・涼と交際中の同級生)
趣里さん
・(佐川 滋 ・姫沼に好意をよせる、同僚の教師)
瀧川英次さん
・(上演期間) 9月2日~9月7日
・(会場) サンモールスタジオ
舞台上は、後方も左右の壁も、床も黒一色でした。
舞台中央には、白いベッドが置かれています。
(←他には、ほとんどセットはありません)
ベッドの上には、布製の古い、女の子のお人形が置かれていました。
女性の独り暮らしと思われる部屋の中は、脱ぎ散らかした服が散乱しています。
舞台右側には、開いたままの赤い傘が置かれています。
やがて舞台が暗転すると、暗闇にノイズのような、激しい雨の音が響きます。
雨の音が静かになり、舞台が明るくなったとき、姫沼先生(松本紀保さん)が、自分の部屋の中で、後ろ姿で立ち尽くしていました。
(←先生は、40歳くらいの目立たない女性です。
膝丈のスカートの、地味なグレーのスーツを着ています。
茶系のベージュのブラウスのボタンを、一番上まで留めています。
眼鏡をかけて、髪は、後ろで無造作に結んでいます)
やがて、我に返った姫沼先生は、慌てて部屋の片付けを始めます。
彼女が散らばった服を拾う度に、服の下からは、咲き乱れる花たちが現れます。
彼女が、急いで集めた沢山の服を、ベッドの下に押し込んだとき、殺風景だった部屋は、色鮮やかな花園に変わりました。
(←この花園は、人間には見えない、心象風景のようです。
黒い空間に白いベッドが置かれ、その回りを花園が囲む光景は、美しいのに、少しグロテスクです)
そのとき、舞台の左端にある部屋の玄関の前に、姫沼先生の生徒、雨宮 涼(西井幸人さん)が立っていました。
(←玄関のセットはありません。
ドアは、パントマイムで表現されます。
雨宮は、一見今どきのイケメンで、幼さと色っぽさを合わせ持っています)
思いつめたような、悲しい表情で、ドアをノックする雨宮。
しかし、先生がドアを開けると、彼の態度は、突然にお調子者に変わります。
雨宮「いやぁー、すっごいね、雨。
見て、(服も髪も)ビッチョビチョ!」
彼は、スーパーで買い物中に先生に会い、その後の突然の雨に、傘を借りに来たのです。
濡れ鼠のような雨宮を見て、先生は、彼を部屋に上げてしまいます。
雨宮「おじゃましまーす!」
屈託なく部屋に入った雨宮は、借りたタオルで、先生の髪をワシャワシャと拭き始めました。
雨宮「先生も拭かなきゃ」
姫沼「いいよ!あるから自分の!」
以前から、雨宮に惹かれている自分に戸惑う先生は、動揺し慌てて距離を取りました。
一方、雨宮は、制服の白いシャツの前をはだけて身体を拭いています。
姫沼「…風邪引いちゃうね」
雨宮「まぁ、いいんだけどね。
風邪くらい。
なんならちょっと、引きたい気分だし」
姫沼「え、何で?」
雨宮「いろいろあるんだよ。
俺らくらいのお年頃には」
明るく笑っていますが、寂しそうな雨宮。
無断で彼女のベッドに座った雨宮は、布団を掛けて隠してあったお人形を見つけます。
そのとたんに、慌てて人形を奪い返す先生。
彼女は、人形を抱きしめながら、雨宮から逃げるように部屋の中を移動しています。
雨宮「先生も脱いだら?
風邪引くよ」
姫沼「…そんなに濡れてないから」
雨宮「ちょっと透けてるよ」
姫沼「嘘!?」
雨宮にからかわれ、先生は動揺して、ジャケットの前を抑えます。
その後、先生は、コーヒーを淹れるため、キッチンにお湯を沸かしに行きました。
先生が部屋に戻ると、雨宮は思いつめた表情で、彼女の使ったタオルを握りしめていました。
動揺し、見ないふりをして、キッチンに戻る先生。
彼女が戻って来た気配を感じて、慌ててタオルを離す雨宮。
雨宮「…先生さ、今、彼氏とかいるの?」
姫沼「…やめて、そういうの。
ちゃんと自覚してるから!
勘違いとかしてないから!
全部分かってるから!」
恋愛経験が無く、自信の無い彼女は、必死に叫びます。
姫沼「…ごめん、大きい声出して。
お願い、帰って…」
雨宮「興味あったよ。
俺、先生に興味あったよ」
雨宮は、優しく奪うように、先生に口づけます。
驚愕している彼女に、彼は、好きになったきっかけを話します。
クラスの掃除当番がさぼったとき、代わりにゴミを捨ててあげていた先生を見てから、好意を持ったのだと。
雨宮「浴びてきなよ、シャワー。
風邪引いちゃうから」
先生は、茫然としながらも、彼の言葉に従い、シャワールームに向かいました。
一人、ベッドに座って、彼女を待っている雨宮。
そのとき、雨の音が止みました。
やがて、思いつめた、辛そうな表情になり、部屋を去って行く雨宮。
(←雨宮は、無邪気に明るく振る舞ったり、誠実だったかと思うと、醒めた目になり、チャラいバカな子のように笑いながら、一人になると、苦悩する表情になります。
彼が本当は何を思っていたのかは、後半まで明かされません)
一人残された部屋で、先生は、絶望を滲ませながら、静かに独白します。
姫沼「シャワールームで、皮がめくれるほど身体を洗って上がってくると、彼は部屋にいなかった。
私が生まれて初めて期待した、身の程知らずな展開は、ばっさりと斬り捨てられた。
…また、私は選ばれなかった…」
まだ続きます。
読んで下さって、本当にありがとうございます。


