「少年十字軍」感想(7)ガブリエルの過去。 | 1904katuoさんのブログ

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スタジオライフの舞台『少年十字軍』の感想です。

沢山の間違いとネタバレ、激しい私見をお許し下さい。

前回の続きです。



(1212年のフランスの物語です)


少年十字軍のテントが放火され、旅費が盗まれてから数日後、犯人の盗賊騎士、クレマーンスの死体が見つかりました。

(←クレマーンス役は、Fチームは原田洋二郎さん、Nチームは仲原裕之さんのダブルキャストです。

このシーンでは、クレマーンスの死体は登場しません)


川辺で死体を発見した、助修士のジャコブ(藤波瞬平さん)は、取り乱して、客席通路から舞台に駆け上がって来ます。


(←このとき、舞台上には、ドミニク(関戸博一さん)とルーがいます。

ルー役は、Fチームは田中俊裕さん、Nチームは千葉健玖さんです)


ルー「ざまみろ!」


野生児のルーは、せいせいしたように吐き捨てます。

ですが、クレマーンスに奪われた手形は、見つかりませんでした。


聡明な助修士のドミニクは、クレマーンスの死が、溺死ではなく、何者かに刺殺されたことに気がつきます。

親友のジャコブを守るため、真相を話さず、一人で抱え込もうとするドミニク。

そんなドミニクがもどかしくて、ジャコブは思わず、彼の頬を叩いてしまいます。


ドミニク「…ジャコブ、知るということは、危険に身をさらすことでもあるのだ。

かまわないのか?」


ジャコブを思いやる、ドミニクの静かな声。


ジャコブ「…かまわない。

話せ」


少し怯えている純朴なジャコブ。

ドミニクは話します。

火事の夜、クレマーンスを殺す機会があったのは、修道士のカドックだけだと。

おそらく、カドックがクレマーンスを刺殺して手形を奪い、死体を川に投げ込んだのだと。

(←カドック役は、Fチームは曽世海司さん、Nチームは青木隆敏さんです)


その後、ドミニクは、両手でしっかりとジャコブの手を握りしめました。


ドミニク「ジャコブ、一度だけ言う!

お前がエティエンヌを大切に思うように、私は、お前を大切に思っているよ。

クレマーンスの死体を見たことは、誰にも話すな」


いつも、皮肉な口調で自分をからかうドミニクの、初めて見せる真剣な眼差しに、ジャコブは戸惑います。


そのとき、ルーが明るく言いました。

もし、カドックが手形を奪ったのなら、大金持ちになれるのだから、旅を続ける必要はないと。


ルー「だから、クレマーンスを殺したのも、カドックじゃない!

そうだろ?」


ルーの楽観的な意見に、ジャコブは安心します。


ジャコブ「そうだ!

ドミニク、お前、考え過ぎだよ」


緊張がほぐれて、はしゃぎながら去ってゆくルーとジャコブ。

一人残されたドミニクは、二人の背中を見つめながら、寂しそうに呟きました。


ドミニク「…お前は、呑気だな…」


賢すぎるドミニクにとって、カドックは、生まれて初めて、自分を理解してくれた大人だったのだと思います。

深い知識を持つカドックと話すとき、ドミニクは、素直で楽しそうでした。


その彼が、最も危険な人物だと知り、親友のジャコブとも不安を分かち合えないドミニクは、とても寂しそうに見えました…。


場面は変わります。

数ヵ月前に北フランスを出発した、少年十字軍の一行は、南フランスの大都市、マルセイユに到着しました。


子供たちは、初めて見る海に、はしゃいでいます。


アンヌ(宇佐見輝さん)「海!」

アントン(澤井俊輝さん)「俺、海見たの初めてだ!」

ルー「でっかいな!

青いな!!」


(←彼らは、舞台前方に立ち、客席後方に、あるはずの海を見つめています。

波の音が響いています)


その頃、貴族の子息のレイモンと、騎士ベルトラン、下僕のガブリエルは、マルセイユの市庁舎を訪れていました。


(←Fチームは、レイモンは鈴木翔音さん、ベルトランは仲原裕之さん、ガブリエルは山本芳樹さんです。

Nチームは、レイモンは原田洋二郎さん、ベルトランは牧島進一さん、ガブリエルは松本慎也さんです)


当初の予定では、十字軍は、この港から船に乗り、聖地エルサレムに向かうはずでした。

ですが、盗賊のクレマーンスたちに手形を奪われた彼らは、船賃を払うことが出来なくなり、市長に船の寄進を頼みに来たのです。


しかし、豪華な身なりの市長(船戸慎士さん)たちは、レイモンを馬鹿にして、物乞いあつかいします。

(←北フランスの小さな地方都市では、レイモンたちは、歓迎されました。

ですが、南フランスの大都市では、地方の領主であるノワイエ伯爵の威光は通じません。

レイモンは、生まれて初めて、父の権力が通用しない場所まで来ていたのです)


レイモン「私は、神のお告げを受けたのだ!

船などいらぬ!

私は、海を二つに分ける!!」


逆上し、とんでもないことを宣言するレイモン。

そんな彼を、ベルトランとガブリエルは、心配そうに見つめていました。


レイモンとベルトランが去った後、カドックが現れます。

彼は、ガブリエルに、穏やかに話しかけます。


カドック「聖地巡礼は、今は安全なのだそうだよ」


今、エルサレムでは、異教徒との間に休戦協定が結ばれており、現地では修道騎士団が、キリスト教徒の巡礼を守ってくれると。

ガブリエルも、聖地巡礼を果たして帰国したのなら、行き場の無い子供たちも、故郷で受け入れられると考えました。


場面は変わります。

仲間たちのもとに帰って来たレイモンは、いきなり、奇跡の子、エティエンヌに命令します。

(←エティエンヌ役は、Fチームは藤森陽太さん、Nチームは久保優二さんです)


レイモン「海を割れ!

お前なら出来るな!!」


手形を盗まれ、旅は中断し、市庁舎で屈辱を受けたレイモンは必死です。

レイモンに両腕を掴まれ、一生懸命に頼まれながら、エティエンヌは不安そうです。

そのとき、まだ幼いピップ(浅川拓也さん)が、明るい声を上げました。


ピップ「エティエンヌがいるから、大丈夫!

エティエンヌは、僕たちをエルサレムに連れて行くよ!」

レイモン「連れて行くのは、俺だ!」


苛ついて、ピップを突飛ばすレイモン。

アンヌは、弟のピップを抱きしめながら、レイモンを睨みます。

彼らは、海を割るために、三日間の祈りを捧げることになりました。


場面は変わります。

海を見つめ、波の音を聞いているうちに、ガブリエルは、失った記憶が甦ってきました。


ガブリエル「私は、船に乗ったことがある…?

…その船には、十字の印が!」


ガブリエルの背後には、彼にしか見えない青い蝶の化身、サルガタナスが立っていました。

(←サルガタナス役は、Fチームは松本慎也さん、Nチームは山本芳樹さんです)


サルガタナス「お前は、十字軍の騎士だった」


ガブリエルは、十年前の第四次十字軍に参加していたのです。


ガブリエル「…略奪、破壊、空無…。

神は、おわさぬ!!」


残酷な戦争の記憶が甦ったガブリエルの心に、以前に交わした、カドックの言葉が聞こえてきました。


カドック『エティエンヌが失ったものは、平凡だが穏やかに生きる力。

我々の言葉では、それを「病んでいる」と言う』


その直後、舞台後方の高い段差の上で、祈っていたエティエンヌが、力尽きて倒れました。

彼を助け起こすガブリエル。

そのとき、舞台上に子供たちが、喜んで走って来ました。


「船に乗れる!」


裕福な貿易商であり、マルセイユの参事会員でもあるボルケール(石飛幸治さん)が、無料で十字軍を船に乗せることを申し出たのです。


無邪気に喜ぶ子供たち。

レイモンは、ほっとしてベルトランと顔を見合せます。


場面は変わります。

船に乗り海を進むうちに、ガブリエルは、さらに深い記憶が甦ってきました。


ガブリエル「…私は、二十歳になるやならずの若者だった。

ああ、母の顔。

私は、思い浮かべることが出来る!」


そのとき、舞台上には、10年前のガブリエルの両親が現れます。

城の領主である父(船戸慎士さん)と、美しい母。


(←母親役は、Fチームは青木隆敏さん、Nチームは曽世海司さんです)


父「行け、ガブリエル。

家名を辱しめぬよう、異教徒どもを成敗し、武勲をあげてまいれ!」


ですが、そのとき、跪いて父から剣を受け取ったのは、舞台後方にいるサルガタナスでした。

サルガタナスは、記憶と感情を失う前の、ガブリエル自身だったのです。


出陣する息子を心配し、悲しそうに去って行く母。

舞台前方で、客席に向かい、ガブリエルは話し続けます。


ガブリエル「…私は、生き残った」


ですが、数年後に、戦争から帰還したガブリエルが見たものは、父の不審な死と、母と再婚し、領主に収まった叔父(笠原浩夫さん)の姿でした。


舞台後方で、サルガタナスは、母を問いつめます。


母「ガブリエル、信じて!

今、あなたが考えているようなことは、私は、神に誓ってしていない!」


母が愛人と共謀して、父を殺したとは、思いたくないサルガタナス。

ですが、叔父は、悩み苦しむサルガタナスを、背後から殴り、気絶させました。

意識を失ったサルガタナスを、引きずって去って行く叔父。

母は、辛そうに剣を持って、現在の夫に従います。


そして二人は、逃亡を防ぐために、ガブリエル(=サルガタナス)の服を剥ぎ、城の地下牢に幽閉したのです。


ガブリエル「…裸体。

自ら望まぬ裸体は、なんと惨めなことか。

屈辱、憤怒、絶望…。

およそ人が、一生の間におぼえるであろう感情の全てを、私は獄の中で使い尽くした…」


数年の幽閉生活の後、絶望したガブリエルは、ついに悪魔に祈りました。

すると、そのとき、偶然にも牢獄のかんぬきが掛け忘れられており、彼は外に出ることが出来たのです。


彼は、母と叔父が共に眠る寝室に走ります。

舞台前方で、正面を向き、素手で、人を刺すパントマイムを行うガブリエル。

そのとき、舞台後方では、サルガタナスが剣を持ち、ガブリエルと同じ動きで、叔父と母を刺し殺しています。

(←二人の動きは、一つになっています)


やがて、サルガタナスは去り、ガブリエルが一人、暗闇の中に残されました。


ガブリエル「…記憶の無いままでいたかった!

あの空無こそが、神なのか!!」


(←ガブリエルは、母を殺した後、素裸のままで逃亡し、サン・レミ修道院の中庭に倒れ、仮死状態になりました。

そして、蘇生して意識を取り戻したとき、全ての記憶と感情を失っていたのです)


地面に崩れ落ち、苦しみにうずくまるガブリエル。

舞台後方の段差の上では、分身であるサルガタナスが、ガブリエルを見下ろして笑っていました…。



あと一回か二回、続きます。

力不足で、何度も更新を中断させて、申し訳ありません。

読んで下さって、本当にありがとうございます。