「楽屋」感想(1)獣のように吼えながら。 | 1904katuoさんのブログ

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響人の舞台『楽屋~流されるものは やがてなつかしき~』の感想です。

会場はAPOCシアター(千歳船橋)です。

沢山の間違いとネタバレ、激しい私見をお許し下さい。



四畳半ほどの広さの菱形◇の舞台は『署名人』と同じく、天井から床までを、10本ほどの鉄パイプに囲まれています。

『署名人』では監獄だった場所が、女優の楽屋に変わっています。


物語が始まると、舞台の奥に作られた更衣室の姿見に向かって、里アンナさんが歌い始めます。

(←里さんは、茶色のロングヘアです。

天使のような白いドレスを着ています。

彼女は、この楽屋を見守る精霊のような印象です)


里『日々のいのちの営みが

ときに あなたを欺いたとて

悲しみ又は いきどおりを

抱かないでほしい

こころは いつも ゆくすえのなかに生きる

そして流れ去るものは

やがて なつかしいものへ♪』


島唄のような美しい歌を歌いながら、楽屋の回りを歩き、去って行く里さん。


やがて音楽は、優しいインストゥルメンタルに変わります。

その中で、現在上演中の舞台、チェーホフの『かもめ』の主演女優(波咲まこさん)が、ニーナの台詞を独白します。

(←姿見に向かって話す彼女は、金髪のかつらを被り、ウールのトレンチコートを着ています)


そのとき、同じ楽屋の中では、舞台の右端と左端で、女優A(末次美沙緒さん)と女優B(穴田有里さん)が、無言で黙々とメイクをしていました。


(←末次Aさんは、グレーの縞の和服を着ています。

額には、ターバンのように赤い手拭いを巻いています。

気っ風の良さそうな中年女性です。


穴田Bさんは、ショートボブの髪をカーラーで巻いています。

グレー地に小花模様のワンピースを着ています。

若くてチャーミングな女性です。

首に赤いストールを巻いています)


二人が白粉をパフではたくと、空気中にパウダーが飛び散っています。


実は、二人は既に亡くなっている幽霊で、楽屋に住み着いているのです。

(←生きている人には、彼女たちの姿は見えません)


開演時間になり、主演女優が楽屋を出て行くと、二人は自分たちの日の当たらない役者人生を嘆きます。

そして、生前に役に恵まれなかった二人は、演じてみたかった役を演じます。


ですが、女優Bのマクベス夫人は、アニメの魔法少女のようでした。

その後『かもめ』のニーナも演じますが、マクベス夫人と同じ不思議キャラになっています。
(^◇^;)


女優Aは、戦争中に男優が徴兵されて人手不足になったとき、その他大勢の博徒として出演した『斬られの仙太』の主役を演じます。

ですが、彼女の演技も前時代的で大袈裟です。
(´д`;)


確かに、生前に役に恵まれないことに納得のいく二人なのですが、憧れの役を演じる彼女たちは、とても楽しそうです。


ですが、いつしか二人は、互いの死因について喧嘩になってしまいます。


女優A「男のために自殺する女優なんて最低!」

女優B「そりゃ、あんたはいいさ!

世間様は、戦争の傷あとには、甘い感傷を持ってらっしゃるからね!」

女優A「うるさいわねぇ、どぶねずみ!
(;`皿´)」

女優B「なにさ、とげねずみ!!
(#`□´)」


女優Aは、額に赤い手拭いを巻いていますが、それは空襲で亡くなったときの傷だったのです。

そして、女優Bが首に巻いている赤いストールは、頸動脈を切って自殺した傷でした。


悲しいエピソードなのですが、言いたいことを言い合って喧嘩をする二人の間には、コミカルで暖かい空気が流れています。


そのとき、20代の若い女優キー子(遠山さやかさん)が、そっと楽屋に入って来ました。

なぜか彼女は、使い古した白い枕を抱えています。


(←キー子は、肩より下の長さのストレートの茶髪です。

スカートもブラウスも、その上に着たレースのニットも全て白です。

足元は裸足です。

あどけない少女のような無垢な雰囲気です)


舞台後方の更衣室の前に座り、無表情に枕を抱えているキー子。

やがてキー子は、突然に笑いだし、独り言を言い始めました。

(←女優AとBは、ぎょっとしています。
(°д°;;))


キー子「…ママ、あたしの手紙、読んでくれた?

あたし、やっと健康になれたのよ。

健康には、なんたって睡眠が一番。

…あたしは健康そのもの。

だからママ、安心して…」


心を病んでいる彼女の言葉に怯えた二人は、何も見なかったことにして、慌ててメイクを再開します。
( ̄ー ̄;)


そのとき、舞台を終えた主演女優が、楽屋に戻って来ました。

赤いカーテンを引いて、更衣室に隠れるキー子。

ですが、主演女優は彼女に気がつきます。

そして、病気が治ったのなら、以前のようにプロンプターとして、戻って来て欲しいと頼みます。

(←プロンプターは、役者が台詞を忘れたときにフォローする裏方です)


ですが、心の病気から幻覚を見ているキー子は、ニーナの役は、始めから自分のものであり、主演女優は代役だと思い込んでいます。

彼女に役を返して欲しいと頼むキー子。


驚愕して、舞台後方に逃げて行く女優AとB。
ヽ(>д<;)ノ


キー子の狂気に動揺しながらも、主演女優は更衣室で衣装を脱ぎ、白いガウンに着替えて出てきます。


キー子は彼女に食い下がります。

ニーナは、作者のチェーホフが私のために書いてくれた役だと。


主演女優「(チェーホフは)70年前に死んじゃってるの!」

キー子「それ、たんなる噂でしょう。

おとついだったかしら?

電話でお話したんです」


そしてキー子は、主演女優に使い古しの枕を押し付けようとします。

さらにキー子は、彼女のために、精神科の病室を予約してきたので、ゆっくり休養して下さいと、あどけない笑顔で迫ります。


鏡前に座り、ドーランを落としながら、唖然としている主演女優。

キー子は畳み掛けます。


キー子「女優って、報われるものの少ない職業ですものね。

なにもかも犠牲にしちゃって…。

しかも日に日にみずみずしさを失っていく肉体にムチ打って、ひたすら求めるのは、絵空事の愛ばかり…。

だから、あたし思うんです!

こんな残酷な仕事に耐えられるのは、若い時だけだって…」


若いキー子は、20年間トップを走り続けている40代の主演女優に、恐ろしいことを言い出します。

主演女優は、混乱しながらも、正面からキー子に向き合います。


主演女優「…あたしは、残酷な仕事であることは百も承知で、女優という職業を選んだの。

選んだからには、そこに残酷な部分が山とあったって、かまいやしない。

だったら、その残酷さを、とことん味わってやるだけよ。

ばばあになったって、かまうもんか!

あたしは、残酷さに餓えてるんだから!」


幻覚を見ている後輩に対して、主演女優は誠実に本音を語ります。

ですが、キャリアが浅いキー子には『残酷さ』の意味が理解できません。


キー子「…やっぱり疲れてらっしゃるんだわ。

予約してあるんです、病室!」


無邪気に微笑むキー子。


主演女優「出ていって!

…ねぇ、分かってよ。

怒鳴ったりして、みじめになりたくないのよ。

お願い、帰って…。

…本当に疲れてきたわ。

一人にして…」


背中を丸めて椅子に座った主演女優は、哀願するように呟きます。

ですが、キー子は 『疲れてきたわ』の一言に、待ってましたとばかりに飛びつき、自分のお古の枕を差し出します。


主演女優「やめてったら!!」


ついに忍耐の限界を越えた主演女優は、傍らにあったビール瓶で、キー子の頭を殴ってしまいました…。



あと一回、続きます。

読んで下さって、本当にありがとうございます。