「みんな我が子」感想(6)楽園には戻らない。 | 1904katuoさんのブログ

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響人の舞台『みんな我が子』の感想です。

沢山の間違いと、激しい私見をお許し下さい。

台詞は不正確です。

前回の続きです。



太平洋戦争から数年後のアメリカの物語です。


口を滑らせた、妻のケイト(末次美沙緒さん)を咎めるように、発言を訂正するケラー(広瀬彰勇さん)。


ケラー「戦争中のインフルエンザ以外はな!」

自分の失言に、慌てて怯えるケイト。


ジョージ「おばさんは、あなたが一度も、病気したことが無いって言ったんですよ!!」


泣き出しそうな、悲痛な表情で叫ぶジョージ。

彼は今、自分が騙されていたことを、はっきりと悟りました。


ケラーは(客席から見て)舞台左側の木の陰に隠れるように立ち、無言で皆に背を向けています。

そのとき突然に、隣人のフランク(羽吹諒さん)が飛び込んで来ました。


フランク「おばさん!

ラリーの星占いが終わりましたよ!」

(←フランクは、ジーンズ生地のキャスケット帽子を被って、眼鏡をかけています。

白地に黒のチェックのシャツを着て、赤い蝶ネクタイをしています。


グレーのズボンを履き、カーキ色のサスペンダーを付けています)


ケイト「ジョージ、これ面白いのよ!

素晴らしいの!」

フランク「実はラリーは、この世の何処かに生きているんですよ!」


(←私見ですが、フランクが占星術に夢中になるのは、自分が僅かな差で徴兵を逃れられたことに対する、罪悪感のように思えました)


そこに、長男のクリス(西山聖了さん)が家から出て来ました。

彼はまだ、先ほどの両親とジョージの会話を知りません。


クリス「気違いじみてるよ!」

戦争で行方不明になった弟の生存を、星占いで確かめようとする母とフランクを批判するクリス。


その後、フランクはケイトに頼まれ、ジョージを帰すための車を待たせに行きました。

ケイトたちは今、真実を知ってしまったジョージを、なんとか追い返そうとしています。


ジョージは妹のアン(真家瑠美子さん)に、一緒に帰るように必死に説得します。


ジョージ「おばさんの話、聞いてただろう?

病気なんかじゃなかったんだ。

あいつは、おやじにパイロットを殺せと言ったまま、ベッドの中に隠れてたんだぞ!!」


ですがアンは、父親がケラーに陥れられた事実を突き付けられても、クリスとの結婚を諦められません。

悲しい目で自分を見つめるジョージに対して、アンは無言で俯きます。


ケイトは、ジョージとアンの二人を追い返そうとして、アンの荷物を勝手に車に積み込みました。


兄と共に帰ることを拒否するアン。


クリス「さあ、帰ってくれ、ジョージ!」


もう現実は見えているのに、幸せになりたくて、父親を見捨てることを選んだアンの表情は辛そうです。


ジョージは最後に悲しみを堪えて、妹に静かに話しかけました。



ジョージ「お前が言ってくれ。

お前の口から、直接聞きたい…」


アンは、小さな声で呟きます。


アン「…帰って」


その言葉に深く失望し、足早に庭を出て行くジョージ。

彼は永遠に楽園を失うことを選び、去って行きました。


アン「お兄ちゃん!!」

ついては行けない兄の後を、泣きながら追いかけるアン。


夕日が沈み、夜が訪れようとする庭では、ケラーとケイト、クリスの親子三人が残されます。

アンまで追い返そうとしたことで、母を責めるクリス。


ケイトは、アンは次男のラリーの恋人であり、息子は必ず帰って来るのだから、クリスとの結婚は認めないと言い張ります。


ケイト「ラリーは帰って来る!

みんなで待つの!

待つのよ!」

クリス「俺は諦めていたよ。

とっくに…」

ケイト「それなら、お父さんのことも、無いものと思いなさい!」


慌てて妻の言葉を否定するケラー。


ケラー「母さんは、気が狂ったんだ!」

ケイト「ラリーは生きているのよ!

息子が実の父親に殺されてしまうなんて、神様はお許しにならないわ!!」


ケイトは激しく取り乱し、家に飛び込んで行きました。


暗闇に包まれた庭で、二人だけになったケラーとクリス。

クリスは、ぼんやりとした口調で父に尋ねます。


クリス「…じゃあ、やったんだね」

ケラー「ラリーは、P-40には乗らなかった…」

クリス「じゃあ、やったんだ…。

他の連中に…」


クリスはついに、不良品のエンジン部品を出荷し、パイロットたちを墜落死させた事件の主犯は、父親だと理解しました。


クリス「どうして、そんなことをしたんだよ!

どうして?!」


最後まで、自分の嘘を信じてくれていた息子に問い詰められ、ケラーは興奮して怒鳴ります。


ケラー「俺は商売をやっているんだ!

120個も不良品が出れば、工場は潰れる!

軍は工場を閉鎖し、契約を破棄する。

あっちは、痛くも痒くもない!

40年の苦労が水の泡だ!

俺の生活を、めちゃくちゃにされてもいいと思っているのか!!」


尊敬していた父親の口から真実を告げられ、衝撃を受けるクリス。


ケラー「クリス、あれは、お前のためにしたことなんだ。

俺はもう、61だぞ!

お前のために、何かを残してやれるチャンスは、もうやって来ない!

分かるだろう?」


必死に息子を説得しようとするケラー。

ですがクリスは、激しく傷つき叫びます。


クリス「俺が毎日、死ぬ思いで戦ってきたのに。

お前は俺の仲間を、殺してきたんだぞ!!

お前には国ってものがあるだろ?!

人間の世界には、住んでいないのか?

お前はケダモノ以下だ!!

ケダモノだって、自分の仲間を殺したりしないからな!!」


息子からの、生まれて初めての激しい拒絶に、愕然としているケラー。


クリス「どうすればいいんだ!!

俺は、どうすればいいんだよ!!」


クリスは叫びながら、乱暴にケラーの両肩を掴んだ後、その胸に顔を埋めて泣き出します。

そして父親から離れ、ふらつきながら、庭を去って行きました。


ケラー「クリス…。

俺のクリス…」


夜の庭で一人、茫然と呟くケラーは、急に年老いたように見えました。



あと二回くらい続きます。

いつも長くてすみません。

読んで下さったかたに、深く感謝します。