響人の舞台『みんな我が子』の感想です。
沢山の間違いと、激しい私見をお許し下さい。
台詞は不正確です。
前回の続きです。
太平洋戦争から数年後のアメリカの物語です。
口を滑らせた、妻のケイト(末次美沙緒さん)を咎めるように、発言を訂正するケラー(広瀬彰勇さん)。
ケラー「戦争中のインフルエンザ以外はな!」
自分の失言に、慌てて怯えるケイト。
ジョージ「おばさんは、あなたが一度も、病気したことが無いって言ったんですよ!!」
泣き出しそうな、悲痛な表情で叫ぶジョージ。
彼は今、自分が騙されていたことを、はっきりと悟りました。
ケラーは(客席から見て)舞台左側の木の陰に隠れるように立ち、無言で皆に背を向けています。
そのとき突然に、隣人のフランク(羽吹諒さん)が飛び込んで来ました。
フランク「おばさん!
ラリーの星占いが終わりましたよ!」
(←フランクは、ジーンズ生地のキャスケット帽子を被って、眼鏡をかけています。
白地に黒のチェックのシャツを着て、赤い蝶ネクタイをしています。
グレーのズボンを履き、カーキ色のサスペンダーを付けています)
ケイト「ジョージ、これ面白いのよ!
素晴らしいの!」
フランク「実はラリーは、この世の何処かに生きているんですよ!」
(←私見ですが、フランクが占星術に夢中になるのは、自分が僅かな差で徴兵を逃れられたことに対する、罪悪感のように思えました)
そこに、長男のクリス(西山聖了さん)が家から出て来ました。
彼はまだ、先ほどの両親とジョージの会話を知りません。
クリス「気違いじみてるよ!」
戦争で行方不明になった弟の生存を、星占いで確かめようとする母とフランクを批判するクリス。
その後、フランクはケイトに頼まれ、ジョージを帰すための車を待たせに行きました。
ケイトたちは今、真実を知ってしまったジョージを、なんとか追い返そうとしています。
ジョージは妹のアン(真家瑠美子さん)に、一緒に帰るように必死に説得します。
ジョージ「おばさんの話、聞いてただろう?
病気なんかじゃなかったんだ。
あいつは、おやじにパイロットを殺せと言ったまま、ベッドの中に隠れてたんだぞ!!」
ですがアンは、父親がケラーに陥れられた事実を突き付けられても、クリスとの結婚を諦められません。
悲しい目で自分を見つめるジョージに対して、アンは無言で俯きます。
ケイトは、ジョージとアンの二人を追い返そうとして、アンの荷物を勝手に車に積み込みました。
兄と共に帰ることを拒否するアン。
クリス「さあ、帰ってくれ、ジョージ!」
もう現実は見えているのに、幸せになりたくて、父親を見捨てることを選んだアンの表情は辛そうです。
ジョージは最後に悲しみを堪えて、妹に静かに話しかけました。
ジョージ「お前が言ってくれ。
お前の口から、直接聞きたい…」
アンは、小さな声で呟きます。
アン「…帰って」
その言葉に深く失望し、足早に庭を出て行くジョージ。
彼は永遠に楽園を失うことを選び、去って行きました。
アン「お兄ちゃん!!」
ついては行けない兄の後を、泣きながら追いかけるアン。
夕日が沈み、夜が訪れようとする庭では、ケラーとケイト、クリスの親子三人が残されます。
アンまで追い返そうとしたことで、母を責めるクリス。
ケイトは、アンは次男のラリーの恋人であり、息子は必ず帰って来るのだから、クリスとの結婚は認めないと言い張ります。
ケイト「ラリーは帰って来る!
みんなで待つの!
待つのよ!」
クリス「俺は諦めていたよ。
とっくに…」
ケイト「それなら、お父さんのことも、無いものと思いなさい!」
慌てて妻の言葉を否定するケラー。
ケラー「母さんは、気が狂ったんだ!」
ケイト「ラリーは生きているのよ!
息子が実の父親に殺されてしまうなんて、神様はお許しにならないわ!!」
ケイトは激しく取り乱し、家に飛び込んで行きました。
暗闇に包まれた庭で、二人だけになったケラーとクリス。
クリスは、ぼんやりとした口調で父に尋ねます。
クリス「…じゃあ、やったんだね」
ケラー「ラリーは、P-40には乗らなかった…」
クリス「じゃあ、やったんだ…。
他の連中に…」
クリスはついに、不良品のエンジン部品を出荷し、パイロットたちを墜落死させた事件の主犯は、父親だと理解しました。
クリス「どうして、そんなことをしたんだよ!
どうして?!」
最後まで、自分の嘘を信じてくれていた息子に問い詰められ、ケラーは興奮して怒鳴ります。
ケラー「俺は商売をやっているんだ!
120個も不良品が出れば、工場は潰れる!
軍は工場を閉鎖し、契約を破棄する。
あっちは、痛くも痒くもない!
40年の苦労が水の泡だ!
俺の生活を、めちゃくちゃにされてもいいと思っているのか!!」
尊敬していた父親の口から真実を告げられ、衝撃を受けるクリス。
ケラー「クリス、あれは、お前のためにしたことなんだ。
俺はもう、61だぞ!
お前のために、何かを残してやれるチャンスは、もうやって来ない!
分かるだろう?」
必死に息子を説得しようとするケラー。
ですがクリスは、激しく傷つき叫びます。
クリス「俺が毎日、死ぬ思いで戦ってきたのに。
お前は俺の仲間を、殺してきたんだぞ!!
お前には国ってものがあるだろ?!
人間の世界には、住んでいないのか?
お前はケダモノ以下だ!!
ケダモノだって、自分の仲間を殺したりしないからな!!」
息子からの、生まれて初めての激しい拒絶に、愕然としているケラー。
クリス「どうすればいいんだ!!
俺は、どうすればいいんだよ!!」
クリスは叫びながら、乱暴にケラーの両肩を掴んだ後、その胸に顔を埋めて泣き出します。
そして父親から離れ、ふらつきながら、庭を去って行きました。
ケラー「クリス…。
俺のクリス…」
夜の庭で一人、茫然と呟くケラーは、急に年老いたように見えました。
あと二回くらい続きます。
いつも長くてすみません。
読んで下さったかたに、深く感謝します。