「みんな我が子」感想(4)ジョージと父の帽子。 | 1904katuoさんのブログ

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響人の舞台『みんな我が子』の感想です。

沢山の間違いとネタバレ、激しい私見をお許し下さい。

前回の続きです。



太平洋戦争から数年後のアメリカの物語です。


舞台上にジョージ(内藤大希さん)が現れます。

(←彼は濃いグレーの三つ揃いのスーツを着ています。

ワイシャツはグレーのストライプで、ネクタイはくすんだ黄色と黒のストライプです。

黒に近いグレーのソフト帽を被っています。

帽子の縁が、彼の蒼白な顔に濃い影を落としています)


クリス(西山聖了さん)が親しげに腕に触れようとしたとき、身体を引いて避けるジョージ。


ジムとスーが立ち去り、裏庭には、クリスとアン(真家瑠美子さん)、ジョージの3人だけが残されます。


ジョージ「何か変な感じがする。

また、ここにいること」


夕暮れの中で、彼は自分が生まれ育った場所を、現実感の無い、不思議なもののように見つめています。


アン「いつから帽子なんて、被るようになったの?」

ジョージ「今日からだよ。

とにかく、弁護士らしくなろうと決めたんだ。

覚えてないのか?

おやじのだよ」


ジョージは切ない表情で微笑み、妹のアンに父の帽子を見せます。

(←帽子をとると、若いジョージの黒髪は、少し色褪せています。

彼の髪形はオールバックです)


アンは、刑務所に服役している父の様子を尋ねます。


アン「お父さん、どうだった?」

ジョージ「痩せた。

小さくなった。

お人好しだと、そうなるんだよ。

今、面会に行って良かった。

…あと一年もすれば、影も形も無くなるところだった」


妹に対するジョージの口調は穏やかですが、心の奥の怒りと悲しみを、一生懸命に抑えているようです。


ジョージ「まだ、結婚はしていないね?」

アン「ええ、まだよ」

ジョージ「こいつと結婚しては駄目だ!!」

アン「なぜ、結婚してはいけないの?!」

ジョージ「こいつらが、俺の家族をぶち壊したんだ!!」


ついに感情を爆発させるジョージ。

クリスは怒り、二人は喧嘩になりかけます。

慌てて二人の間に入ったアンは、兄をベンチに座らせ、自分も隣に座ります。


アン「何があったの?

あたしが出て来るときは、キスしてくれたのに…」


ジョージ「あれから俺の人生は、ひっくり返ったんだ。

おやじに会って、お前が結婚することを話したくなった。

だって、おやじはお前を愛しているから。

…俺たちは、酷いことをしてしまった。

おやじにクリスマスカード一つ送らなかった…。

俺なんて、戦争から帰還してから、一度も会いに行かなかった!!」


泣きそうな顔で自嘲的に笑いながら、膝に置いた父の帽子に触れるジョージの指は震えています。

その様子は、今まで誤解し、遠ざけていた父親を、近くに取り戻そうとしているようでした。


ジョージは妹に、今日、父が語った事実を話します。

21名のパイロットを墜落死させた、不良品のエンジン部品が作られた日、彼らの父のスティーブは、クリスの父である社長のケラー(広瀬彰勇さん)に電話をかけて、すぐに来てくれるように頼みました。

ですが、ケラーは工場には現れず、不良品のひびを塞いで軍に納品するように、電話で指示を出したのです。

ジョージの言葉に怒るクリス。


クリス「話は、それだけか!」

ジョージ「いや、まだある!

(アンに向かって)

おやじは怖かった。

それをするなら、ジョー(ケラー)に来てもらいたかった。

だが、ジョーは来られない…。

病気だとさ!

急にインフルエンザにかかって!

急にだよ!

だが、責任はとると約束した。

分かるかい?

電話じゃ、責任は持てないんだ!!」


裁判でケラーは、自分は絶対に電話をかけていないと押し通し、スティーブ一人に罪を擦り付けたのです。

ジョージは、必死に妹を説得します。


ジョージ「さあ、どうするつもりだ?

こいつに食べさせてもらって、こいつと同じベッドで眠るのか?」


クリス「そんな戯言を言いに、わざわざ来たのか?」

アン「ジョージ、法廷じゃ…」

ジョージ「法廷の人間は、おやじという人間を知らないからだよ!」


ベンチから立ち上がり、叫ぶジョージ。

アンは、兄と恋人の間に立たされ、必死にその場をおさめようとします。


アン「お父さん気が小さいから、嘘ついちゃったのかもしれないでしょ?」


一生懸命に、兄と自分自身を誤魔化そうとするアン。

そんな妹を、ジョージは悲しい目で見つめています。

互いに自分の父親を庇い、怒鳴り合った後、クリスはジョージに尋ねます。


クリス「お前は、法廷の記録をずっと信じてきた。

なぜ、今まで信じてきたんだ?」


そのとき、憎しみに燃えていたジョージの目に、ふいに静かな悲しみが表れました。

彼はクリスに向かって、静かな声で呟きます。


ジョージ「お前が信じたから…。

お前が信じたから、俺も信じたんだ…」


正直な気持ちを打ち明けたあと、ジョージは再び声を荒げます。


ジョージ「お前のおやじは、俺たちの持っていたものを、残らず取り上げた。

だが妹だけは、渡すわけにはいかない!!」


彼は、アンに必死で訴えます。


ジョージ「荷物をまとめるんだ。

この家のものは、みんな血に染まっている。

お前は、こんなところで暮らせる人間じゃないだろ?」


怒りと悲しみに震えながら、常に大切に帽子を抱えているジョージ。

彼は今、孤立無援な状態で、父への思いを手離すまいとしているかのようです。

ですが、アンは兄の言葉を受け入れず、必死にクリスとの幸せにしがみつこうとしています。


クリス「アン…。

あんなこと、信じやしないだろう?」

アン「嘘よ、嘘だわね?」


そのとき、クリスの母であるケイト(末次美沙緒さん)が、家から庭に出て来ました…。



まだ続きます。

更新に時間が空いてしまい、すみませんでした。

読んで下さって、本当にありがとうございます。
(^-^。)。