響人の舞台『みんな我が子』の感想です。
沢山の間違いとネタバレ、激しい私見をお許し下さい。
前回の続きです。
太平洋戦争から数年後のアメリカの物語です。
舞台上にジョージ(内藤大希さん)が現れます。
(←彼は濃いグレーの三つ揃いのスーツを着ています。
ワイシャツはグレーのストライプで、ネクタイはくすんだ黄色と黒のストライプです。
黒に近いグレーのソフト帽を被っています。
帽子の縁が、彼の蒼白な顔に濃い影を落としています)
クリス(西山聖了さん)が親しげに腕に触れようとしたとき、身体を引いて避けるジョージ。
ジムとスーが立ち去り、裏庭には、クリスとアン(真家瑠美子さん)、ジョージの3人だけが残されます。
ジョージ「何か変な感じがする。
また、ここにいること」
夕暮れの中で、彼は自分が生まれ育った場所を、現実感の無い、不思議なもののように見つめています。
アン「いつから帽子なんて、被るようになったの?」
ジョージ「今日からだよ。
とにかく、弁護士らしくなろうと決めたんだ。
覚えてないのか?
おやじのだよ」
ジョージは切ない表情で微笑み、妹のアンに父の帽子を見せます。
(←帽子をとると、若いジョージの黒髪は、少し色褪せています。
彼の髪形はオールバックです)
アンは、刑務所に服役している父の様子を尋ねます。
アン「お父さん、どうだった?」
ジョージ「痩せた。
小さくなった。
お人好しだと、そうなるんだよ。
今、面会に行って良かった。
…あと一年もすれば、影も形も無くなるところだった」
妹に対するジョージの口調は穏やかですが、心の奥の怒りと悲しみを、一生懸命に抑えているようです。
ジョージ「まだ、結婚はしていないね?」
アン「ええ、まだよ」
ジョージ「こいつと結婚しては駄目だ!!」
アン「なぜ、結婚してはいけないの?!」
ジョージ「こいつらが、俺の家族をぶち壊したんだ!!」
ついに感情を爆発させるジョージ。
クリスは怒り、二人は喧嘩になりかけます。
慌てて二人の間に入ったアンは、兄をベンチに座らせ、自分も隣に座ります。
アン「何があったの?
あたしが出て来るときは、キスしてくれたのに…」
ジョージ「あれから俺の人生は、ひっくり返ったんだ。
おやじに会って、お前が結婚することを話したくなった。
だって、おやじはお前を愛しているから。
…俺たちは、酷いことをしてしまった。
おやじにクリスマスカード一つ送らなかった…。
俺なんて、戦争から帰還してから、一度も会いに行かなかった!!」
泣きそうな顔で自嘲的に笑いながら、膝に置いた父の帽子に触れるジョージの指は震えています。
その様子は、今まで誤解し、遠ざけていた父親を、近くに取り戻そうとしているようでした。
ジョージは妹に、今日、父が語った事実を話します。
21名のパイロットを墜落死させた、不良品のエンジン部品が作られた日、彼らの父のスティーブは、クリスの父である社長のケラー(広瀬彰勇さん)に電話をかけて、すぐに来てくれるように頼みました。
ですが、ケラーは工場には現れず、不良品のひびを塞いで軍に納品するように、電話で指示を出したのです。
ジョージの言葉に怒るクリス。
クリス「話は、それだけか!」
ジョージ「いや、まだある!
(アンに向かって)
おやじは怖かった。
それをするなら、ジョー(ケラー)に来てもらいたかった。
だが、ジョーは来られない…。
病気だとさ!
急にインフルエンザにかかって!
急にだよ!
だが、責任はとると約束した。
分かるかい?
電話じゃ、責任は持てないんだ!!」
裁判でケラーは、自分は絶対に電話をかけていないと押し通し、スティーブ一人に罪を擦り付けたのです。
ジョージは、必死に妹を説得します。
ジョージ「さあ、どうするつもりだ?
こいつに食べさせてもらって、こいつと同じベッドで眠るのか?」
クリス「そんな戯言を言いに、わざわざ来たのか?」
アン「ジョージ、法廷じゃ…」
ジョージ「法廷の人間は、おやじという人間を知らないからだよ!」
ベンチから立ち上がり、叫ぶジョージ。
アンは、兄と恋人の間に立たされ、必死にその場をおさめようとします。
アン「お父さん気が小さいから、嘘ついちゃったのかもしれないでしょ?」
一生懸命に、兄と自分自身を誤魔化そうとするアン。
そんな妹を、ジョージは悲しい目で見つめています。
互いに自分の父親を庇い、怒鳴り合った後、クリスはジョージに尋ねます。
クリス「お前は、法廷の記録をずっと信じてきた。
なぜ、今まで信じてきたんだ?」
そのとき、憎しみに燃えていたジョージの目に、ふいに静かな悲しみが表れました。
彼はクリスに向かって、静かな声で呟きます。
ジョージ「お前が信じたから…。
お前が信じたから、俺も信じたんだ…」
正直な気持ちを打ち明けたあと、ジョージは再び声を荒げます。
ジョージ「お前のおやじは、俺たちの持っていたものを、残らず取り上げた。
だが妹だけは、渡すわけにはいかない!!」
彼は、アンに必死で訴えます。
ジョージ「荷物をまとめるんだ。
この家のものは、みんな血に染まっている。
お前は、こんなところで暮らせる人間じゃないだろ?」
怒りと悲しみに震えながら、常に大切に帽子を抱えているジョージ。
彼は今、孤立無援な状態で、父への思いを手離すまいとしているかのようです。
ですが、アンは兄の言葉を受け入れず、必死にクリスとの幸せにしがみつこうとしています。
クリス「アン…。
あんなこと、信じやしないだろう?」
アン「嘘よ、嘘だわね?」
そのとき、クリスの母であるケイト(末次美沙緒さん)が、家から庭に出て来ました…。
まだ続きます。
更新に時間が空いてしまい、すみませんでした。
読んで下さって、本当にありがとうございます。
(^-^。)。