「しあわせの詩」感想(2) | 1904katuoさんのブログ

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舞台『しあわせの詩』の感想です。

上野聖太さんが桔平、内藤大希さんが健(たける)バージョンです。

沢山の間違いとネタバレ、激しい私見をお許し下さい。

前回の続きです。



キツネの楓(荻野恵里さん)は、『広い世界を見たい』という願いを叶えるために、森を出て行くことを迷っています。

そして楓は、最年長のキツネであるお婆(蔵重美恵さん)に尋ねます。


楓「お婆の願いは?」

お婆「‥昔、好きな人がおった」

楓「人?」

お婆「そう、人間。

ずいぶん昔のことだ。

たまに、こん森に狩りば来よった。

もちろん、私は姿を見せたりはしなかった。

あるとき、その人が不治の病になった。

『あん人ば助けてくれ』と、女がお参りに来た。

‥あんなに心が疼いたことは無かった。

この体の血の一滴まで、あげてもいいと思った。

でも、願いは叶わんかった‥」

お婆の話を聞いて、森を出る決心をする楓。


そして願いが叶う満月の夜、ためらう楓を桔平(上野聖太さん)は励まします。

桔平「怖かとやろ?」

楓「怖かさ!」

見つめ合い笑う桔平と楓。

楓「でも、私は満たされたか!

私、こん森を出る!」

桔平「おう!」

力強く、楓を励ます桔平。

楓「‥螢(ほたる・田宮華苗さん)をよろしく!」


泣きそうな声で、妹のような存在の螢を案じたあと、外の世界に飛び出して行く楓。


そして、心からの願いの叶った喜びの中で、楓は旅立って(死んで)行きました。

満たされた笑顔で消えて行った楓。

やがて、楓を送るように『キツネの黄泉(嫁)入り』の雨が降り出します。


雨の中で、楓に向けて『しあわせの詩』を歌う桔平とお婆。

そして桔平は、大切な人間の詩織との思い出を話します。

桔平「心が震えた。

詩織(千田阿紗子さん)が、子供が出来たって、言いに来たとき‥」


回想シーンになり、森の中で石に腰掛けている詩織と、詩織の足元に座っている桔平。

詩織「こん子が、笑ってくれたらいい。

他には何もいらん。

こん子が健康で、しあわせか人生ば送ってくれたら、それでよか」


満たされた表情で、お腹に手を置く詩織を、優しく見つめる桔平。

桔平は、詩織と婚約者との子供を、まるで身内のように大切に思います。


桔平「‥俺の心は震えた。

何でやろ、俺のほうが泣いとった」

お婆「それは、詩織の本当の願いだったからじゃろ」


この物語は、子供の幸せを願うことも、恋心も、自分のためだけの願いも、全てを等しく肯定していました。


そして詩織は、お腹に子供がいるときに崖から落ちて、一度命を失っていたのです。

詩織を助けるために掟を破り、自らの腕を切って不老不死のキツネの血を飲ませ、詩織を蘇生させた桔平。


そのために桔平は、もう永遠に満たされることは無く、一人生き続ける宿命を負っていたのです。

自分には、決して訪れない『満ちるとき』に向かう楓を見送るとき、桔平は『決して後悔しない』と自分に言い聞かせるような、とても強い目をしていました。


ですが、その桔平の行動は、詩織が若くして亡なったことと、詩織の息子の健(内藤大希さん)が、『痛みを感じない体』として生まれたことの原因でもあったのです‥。



まだ続きます。

読んで下さって、本当にありがとうございました。