いっきゅう会がゆく~宮城マスター検定1級合格者のブログ~

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  難関ご当地検定として知られる宮城マスター検定1級の合格者で作る「いっきゅう会」のメンバーが、宮城の魅力をお伝えします!

 

【東北最大の規模を誇る雷神山古墳(らいじんやまこふん】

 

今回は、トリビアNo.139でご紹介した遠見塚古墳に続き、「春のみやぎ古墳シリーズ・第2弾」として3月中旬に訪れました国の史跡に指定されている宮城県内ナンバー1・東北ナンバー1の雷神山古墳(名取市植松・前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん))についてご紹介します。

 

【名取は大型古墳の密集地!】

稲作が盛んになると、人々を支配する有力者が現れ、小さな方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)や方墳(ほうふん)から次第に大きな前方後方墳(ぜんぽうこうほうふん)、さらに巨大な前方後円墳が造れるような大豪族が現れます。雷神山古墳は古墳時代前期では東日本で最大級を誇る前方後円墳です。名取の大豪族は畿内の大和政権との密接な関係をもとに、仙台平野を基盤としてその勢力をまわりまで広げていったものと考えられます。雷神山古墳からは古墳時代前期の土師器(はじき)や壺型埴輪(つぼがたはにわ)が出土しており、4世紀末から5世紀初頭の築造と想定されます。なお、出土物などから前後関係でいうと仙台の遠見塚古墳より雷神山古墳は後に造られたものと考えられます。

宮城県内の古墳の大きさランキングによると、雷神山古墳を筆頭に名取では大塚山古墳(古墳時代中期では東北最大の古墳・前方後円墳)、飯野坂古墳群に属する3つの前方後方墳がベスト10に入っており、県内の大規模古墳の半数が名取市の愛島(めでしま)丘陵に集中しています。このことから、古墳時代の名取市愛島丘陵付近が東北の政治・経済・文化の中心地であったと考えられます。宮城県そして東北地方の空の玄関口である仙台空港(愛称:仙台国際空港)が名取市と岩沼市にまたがって所在していること。また、古墳時代には畿内の大和政権と結び先進文化を受け入れる窓口となり、大型古墳を築造する力を持った大豪族が治めた東北の中心を担ったことを考え合わせると、「ゲイトウェイ」としての名取という土地の重要性や歴史の連続性を意識せずにはいられません。


【雷神山古墳のデータあれこれ】

・全国(※)で52番目の大きさ(前期では東日本最大級)。東北地方最大(つまり宮城県内で最大)。

※全国の古墳は16万基あるといわれ、コンビニエンスストアの数より多い。

・標高45mの小丘陵に立地し、主軸長168m、後円部の直径と前方部の幅は96m、後円部の高さ12m、前方部の高さ6m。

・葺石(ふきいし)を伴う三段築成の古墳。東西及び南側には周溝や周堤も確認されています。

・雷神山古墳の名前は頂上に祀られた雷神様の石碑に由来しています。

 

【訪問しての感想】

初めての訪問でしたが、隣接する小塚古墳(円墳)も含めその規模の大きさに圧倒されました。さながら「山城」のようにも感じました。一説では、雷神山古墳を造るためには10tトラック2.7万台分、期間1年9か月、すべて人力で行う時代では総計76万人(1日2000人が作業として計算)、費用88億円が必要だというから驚きです。

眺望も素晴らしく、太平洋も近いことに気づきます。宮城県の地図をよく見ると名取の愛島丘陵と海岸線の部分は、仙台平野・名取平野と丘陵部分の幅が一番狭くなっている場所であり、当時は海や主要な道からよく見えたと想像され、「見せること」を意識して造られたのではないかと筆者は強く感じました。現在は林に遮られ国道4号線バイパスや東北本線からは古墳が見えないのが非常にもったいない気がします。古墳の主体部が未調査ということで、将来「大発見」があるのではないかと夢がひろがります。

 

【伊達政宗公と雷神山古墳の意外な接点】

『伊達治家記録』には、慶長14年(1609)8月18日に、伊達政宗公の指揮のもと大規模な鉄砲隊の演習を行ったことが記録されています。今の宮沢橋近辺(太白区根岸)から雷神山古墳があるJR館腰駅近辺(名取市植松)まで10km以上の鉄砲による大連射の往復を行い、政宗公自身も騎馬で植松まで鉄砲隊の配置状況を見て回り、引き返すと茂ヶ崎山(大年寺山)へ上り、政宗公の号令のもとで鉄砲を段々に射撃させています。

仙台の遠見塚古墳が江戸時代には古墳と認識されていなかったように、雷神山古墳も当時は古墳とは認識されていませんでした。よって政宗公が鉄砲隊の大演習の折り返し地点を雷神山古墳の近くに設定したのは単なる偶然と思われますが、雷神山古墳の被葬者である大豪族も何事か!?と驚いて1200年の眠りをさましたかもしれません。ちなみに雷神山古墳の頂上からは大年寺山のテレビ塔や遠くは泉ヶ岳を望むことができます。

 

【参考情報】

 JR館腰駅から約1.5km、JR名取駅から約3km

 

【参考文献等】

・「なとり古墳BOOK」(名取市教育委員会)

・パンフレット「国指定史跡 雷神山古墳(東北地方最大の前方後円墳)」(名取市教育委員会)

・名取市歴史民俗資料館「第1回企画展 名取の古墳」配布資料

・『仙台市史 通史編2 古代中世』

・『日本史のなかの宮城県』(山川出版社)

・『宮城県の歴史散歩』(山川出版社)

・『独眼竜政宗3』(千葉真弓著・プレスアート)

・『「奥州の竜」伊達政宗』(佐藤貴浩・角川新書)

 

(執筆 みのるさん)