それでは、司馬遼太郎の作品を実際に覗いてみることにする。
長編作品一覧を見てみると、なおのこと、史記の列伝(れつでん)の形式を真似て小説を書いていた作家ということがわかる。
  
梟の城19599月、講談社) - 葛籠重蔵、風間五平
      1960年(昭和35年)前半期の直木賞(第42回)を受賞、新聞記者であった司馬が作家となる契機となった作品である。司馬が初期に多く手がけた忍者小説の一つ。
 
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風の武士19615月、講談社) - 江戸時代末期、伊賀同心の末裔、柘植信吾を主人公にした伝奇小説
    熊野の秘境の安羅井国(やすらいこく)とは?またそこに隠された巨万の秘宝とは?波乱万丈の伝奇長編。
      マニアの紹介だが、「こんなにファンタジーでいいのかっ!?」と司馬氏に突っ込みたくなるほどのエンターテイメント。もうこのふぁんたじぃ度合いは例えばスターウォーズのレベル。ある  いはドラえもんの長編シリーズか?とにかく面白い。面白いの一言である。
 
戦雲の夢19618月、講談社) - 長宗我部盛親
 
風神の門196212月、新潮社) - 真田十勇士の霧隠才蔵
 
竜馬がゆく1963 - 66年、文藝春秋新社) - 坂本龍馬、中岡慎太郎
      司馬の代表作でかつ世間一般でイメージされる竜馬像は、この歴史小説で作られ
              たと言ってよい。また、販売数も第2位を凌ぎ、ダントツである。
 
参考資料
出典:『ダカーポ』200597日号
順位 作品販売 部数(万部)             
1位 竜馬がゆく 2125        2位 坂の上の雲 1475
3
位 翔ぶが如く 1070        4位 街道をゆく 1051
5
位 国盗り物語 674         6位 項羽と劉邦 669
7
位 関ヶ原 520            8位菜の花の沖 475
9
位 花神 453            10位世に棲む日日 445
11
位 功名が辻 395         12位播磨灘物語 392
13
位 この国のかたち 365     14位 峠 322
15
位 城塞 307            16位新史太閤記 262
17
位 義経 240            18位箱根の坂 238
19
位 胡蝶の夢 231         20位最後の将軍 220
合計 11929万部
 
燃えよ剣19643月、文藝春秋新社) - 土方歳三
       多摩時代から新選組結成、各地での戦闘、そして箱館戦争において土方歳三が 戦死するまでが、「喧嘩師」の生涯として描かれている。
 
尻啖え孫市196412月、講談社) - 安土桃山時代、雑賀鉄砲衆を率い織田信長に抗した雑賀孫市を描く
 
功名が辻19656 - 7月、文藝春秋新社) - 山内一豊とその妻千代
     司馬作品には珍しく女性を主人公にした作品。「良妻賢母」などを主題にしているといわれている。
 
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城をとる話196510月、光文社)
    司馬が石原裕次郎に依頼され書いたものであり、196536日公開の映画『城取り』
   の原作となった。
 
国盗り物語196511 - 667月、新潮社) - 斉藤道三、織田信長、明智光秀
 
       司馬遼太郎の歴史小説。斎藤道三編・織田信長編の、二編構成からなる。司馬遼太郎の       長編小説の中でも構成に破綻がなく秀作と評される傾向にあり、伊東光晴らが1994年に選ん だ「近代日本の百冊」(講談社)の中の一冊に選ばれている。
 
北斗の人196611月、講談社) - 千葉周作
 
浪華遊侠伝19667月、講談社) - 幕末の侠客明石屋万吉をはじめ大阪庶民からの視線で幕末を描く。
 
関ヶ原196610 - 12月、新潮社) - 島左近、石田三成、徳川家康
 
十一番目の志士19672月、文藝春秋)
       司馬には珍しく架空の人物を主人公とした作品である。長州藩出身であり、二天一流を使いこなす架空の暗殺者(刺客)天堂晋助の生涯を描く。
 
最後の将軍19673月、文藝春秋) - 徳川慶喜 
Juliette Winters Carpenterによる英訳『The Last Shogun』がある)
 
殉死196711月、文藝春秋) - 乃木希典
       明治期の軍人で長州藩出身の乃木希典(陸軍大将伯爵)は、日露戦争の第三軍司令官として旅順要塞を攻め(旅順の戦い)に、勝利せるも息子二人も戦没した。戦後は学習院長となり、天皇の厚い信頼を得たが、その明治天皇は19127月に崩御した。9月の大葬の日に、 夫人静子と共に自宅で殉死するまでを描く。9回毎日芸術賞を受賞した。