こんにちは。ちょっと間があいてしまいましたが、室内遊びの話のまとめに入っていきたいと思います。
※以下の内容は、第11回小金井市公立保育園運営協議会で市側の委員より発表された内容・資料を再構成したものです。
正式な資料・会議録は市のHPからご確認ください。
●遊びのコーナーのねらい
①子どもの手が届くところに玩具があり、子どもが自ら選びとって遊べるようにする。大人が管理しやすいように大人の都合で子どもにおもちゃを与えるのでは、子どもは常に受け身となる。乳児の時期から自らの意志で環境に働きかけていく力——主体性を育てていく。
②最大限遊びの時間を保障していく。待たされる時間をなくすこと、短いちょっとの時間も、眠る、食べる、排せつする、着脱する等の合間の時間も全ての時間、子どもは環境にかかわり、心身を発達させていく。その全てを充実させる環境を整える。
③乳児期は個人差が大きく、発達に合わせた玩具を様々に取り揃える必要がある。子どもの発達の要求に合った玩具、興味、関心が持てる玩具が、沢山遊べるだけあり、遊びたくなるように魅力的に配置されていることが遊びへの動機づけになる。
④いくつかの遊びのコーナーを配置することで少人数ずつに分かれて遊ぶようになり、落ち着いて遊ぶことができる。一斉に全員が同じ遊びをするよりも子ども同士のトラブルが減る。また、興味、関心の近い子ども同士が親密になる機会となる。
⑤オモチャ棚などで区切り、コーナーに遊びの特性を持たせることで、遊ぶ場所のルールができ、邪魔されずにじっくり遊びこむことができる。落ち着いて過ごせる場所ができる。
⑥玩具が手の届かない所や見えない所に片づけられてしまうのではなく、いつも同じところにあることで、次への見通しが持てる。また、遊びの続きができるように置いておくスペースを設けることで、気持ちの切り換えがしやすくなる。
⑦保育者が玩具を棚のもとの場所に丁寧にしまったり、秩序立てて並べることで、物の扱い方や片づける習慣が身についていく。
以上の7つの項目が「遊びのコーナーのねらい」として、園長先生から挙げられたものです。
つまり、遊びのコーナーとは、どの子も興味・関心が持てるおもちゃを「いつでも手の届くところ」にたくさん設け、遊びたいときに安心して思い切り遊べるようにしたもの。そこには、子どもたちの「自分で」という意欲をはじめ、主体性など心の発達や体の発達を育てていくというねらいがあるのです。
●遊びのコーナーをつくるにあたっての配慮
①発達の要求に合った玩具を置く
例:全身運動の遊び、感触遊び、感覚遊び、手指も操作遊び、見立て遊び、つもり遊び、認識遊び、構造遊び、ごっこ遊び
②子どもの遊び方をよく観察し、たっぷりと数が必要なものは、数を揃える。
③一通りの遊び方ではなく、数種類の遊び方ができるものや、幾通りにも見立てられる物を用意する。
④布や木製の手触りのよい物、温かみのある手作りの物を置く。
⑤子どもがわかりやすいはっきりとした色彩の物を揃える。
⑥数種類の玩具を組み合わせて、遊びが発展するようにする。
⑦季節感を持たせる。
⑧穴おとし、つなぎ遊びなど手先の遊びはいろいろなバージョンを揃える。
⑨パズルなどステップアップできるように段階を揃える。
⑩子どもの遊びをよく観察し、玩具の入れ替えやコーナー替えをする。
⑪角がある物、先端がとがっている物、飲み込んでしまう大きさの物など、事故につながる物を置かない。
⑫その場所にいることで遊びのイメージが広がるようなレイアウトをする。
⑬棚の上に登る、部屋を走り回るといった行動を誘発しない工夫をする。
⑭棚の高さは死角を作らないようにする。
⑮玩具棚、しきり棚は危険のないように角を保護したり、置き場所に配慮する。
⑯子どもが自分で片づけやすい工夫をする。
⑰子どもや大人の動線を邪魔しないレイアウトにする。
このように、遊びのコーナーをつくるにあたっては、細やかな配慮がなされています。例えば、0歳児の部屋は、クラスの月齢・発達のバランスによって配置が異なります。ハイハイやよちよち歩きの子どもが多ければ、できるだけそれらができるようにと、広くスペースを取った配置にしているそうです。また、4月生まれの子と翌年3月生まれ子が同じ保育室にいる場合は、おもちゃ棚や柵を使って区切りをつけるようにすることもあるとか。
保育室のレイアウトやおもちゃ選びには年齢ごとにねらいいがあり、細やかな配慮がなされていることがわかりましたね。
次回は、各保育園から出された実際の事例を見ていきます。
・参考
第11回小金井市公立保育園運営協議会 会議録