1919年、実篤34歳の作。
既に文壇で確固たる地位を築いていた。
男A、男Bは互いに尊敬し合う親友。
女Cには、Aが先にプロポーズするが断られた。
CはBが大好き。実はBもCが大好き。
結局、BとCは結婚し、Aは泣きわめく。
が、「仕事のうえで決闘しよう」と立ち上がる。
親友同士が同じ女性に恋をするなんてのは、よくある話。
ガンガン積極的に突っ走るAが涙を流し、そっけない素振りのBが射止めるのも、よくある話。
CがAを振るときのセリフ:
「ありがた迷惑に思っております」
「一時間以上よこにいたくない」
これはひどい。
もう少しまともな言い方ないんかな。
生理的に受け付けないということ。
Aは気づかなかったんですね。
23歳で初恋というくらいだから、Aは相当なオクテなのです。
でも、こっぴどく振られて泣いた後の決心がいい。
「僕は獅子だ。傷ついた、孤独な獅子だ。そして吠える」
「いつかは更に力強く起き上がるだろう」
よし、いいぞ、A。
見返してやれ。
西武ライオンズも起き上がれ。
ところで、女Cは16歳の女学生。
このころの女性は16とか18で嫁に行くのが普通だからわからんでもないが、それまで無邪気にピンポンで遊んでいたと思ったら、男B宛の手紙に、あなたの子供が産みたいと書いてみせる。女はようわからん。