(再掲載)
通常オーディオアンプはめったに故障するものではない。オーバーロード(過大な音量アップ)でもしないかぎり、そう簡単に壊れるものではないのだ。長期間使って壊れるパーツは決まっていて、音が割れてきたとか、左右、又は片方のチャンネルから音が出なくなった場合などは、最終段に付いているパワートランジスタが原因である。この部分は高温になるのでヒートシンク(アルミ製の格子板)とか高級品等は空冷ファンで冷やしているが、高熱により壊れやすいパーツの一つでもある。古い30年前のアンプだとステンレス製で楕円形(中央が丸い)を使用していて、これは現在製造中止になっているが、インターネットなら手に入る。グーグルで型番をタイプアップし検索すれば、世界中でこの部品を在庫販売している会社が出てきて買えるし値段もそう高くない。一般的な四角で三本足の黒いプラスチック製トランジスタはたいていどこのパーツ屋でも置いているが、マランツやNADのモデルは自社製部品を使用しているので、特約店以外からは手に入りにくい。
最近のCDコンポステレオセットは全体を小型化するため、左右チャネルが一体になった大きくて数十個の脚のあるICを使っている。これは片方のチャネルが駄目になった場合でも、そっくり全部を交換する必要がある。このパーツは安くない、しかもメーカーからの取り寄せとなる場合もある。以前高級なソニー製CDコンポでその部品の値段が300ドルもしたので修理をギブアップしたことがあった。 古い型式のアンプならこのような心配はない、パーツも五ドル以下で手に入る。
モデルにもよるが高価だったものは周波数特性(音質)の幅も広く特に高域がきれいである。どんなステレオセットの仕様書にも周波数特性が最低で40~50Hz最高が20kHzと表示されている。これは通常、人が耳で聞こえる範囲と言われているが、実際は20kHzの音は我々の耳には聞こえないとのことである。ソニーの役員で聴覚テストの結果35kHzまで聞こえたという蝙蝠のような人もいたが、彼は特殊な耳の持ち主だったようである。
スピーカーの性能にもよるが、どのステレオセットでもかなりの高音域まで再生出来てはいるのだが、はっきりと聞こえてこない、それはゲイン(音の強度)が弱いからである。新製品のコンポステレオは低音域ばかりが際立って、きれいな高域が出てこないのはコスト削減によるものである。
オーストラリアではソニー製品はカルト教団、教祖のように崇拝されていて、たとえ低価格の品物であっても好まれている。アンプではヤマハ製品も同じように有名だがナチョラルサウンドと表示したモデルがあって、その意味が理解しにくい。自然界のサウンドは聞こえない音域も含まれており、音響機器では決して再現出来ない程複雑は音である。もしナチョラルサウンドとは人間の耳に聞きやすい音、つまり周波数特性の幅の狭い音域を意味しているならば、それは手を抜く為のいい訳であり、コスト削減の為なのである。
最近古い型のレコードプレイヤーが良く売れている。今でもたくさんのレコード盤を持っている人が多く、機械は古くなって捨ててしまったが、もう一度その中の曲が聴きたくなり、プレイヤーだけを購入に来るのである。硬い金属音のするCDデジタルサウンドにも飽きがきたようで、ソフトサウンドでしかも音質の良いレコード音楽が復活され始めたようである。それにレコード盤をターンテーブルに乗せて、操作に手間をかけることが、音楽を聴いているという実感を一層沸かせるようでもある。大きなレコード盤が回転しながら音を拾ってゆく、その様子を見ながら聞く方が、数倍楽しく音楽を鑑賞出来るのである。
某メーカーでは以前から中国で生産を始めていて、今は値が下がり100ドル程、最近ではソニーも製造(これも最初は300ドルもしたが、今は200ドル)を始めている。これはコンピーターでレコード盤からCDコピーを作るためで、プレアンプが内蔵されていて、直接パソコンに接続出来るようになっている。最近のアンプはフォノの入力端子がなく、インピーダンスを合わせるために、このようなデザインとなってしまった。ボディ全体とパーツは柔らかいプラスチック製で、いつ壊れるかも知れない程の粗悪品、音さえ出れば良いという設計、音質の事など全く考えていないようである。
それに比べ古い製品は立派で頑丈、しかも音が良い。針も注文すれば35ドル前後で作ってくれる。ちなみに私の店ではオーバーホールをし、針付き、ダイレクトドライブ(直モータードライブ)の一流メーカー製、パーフェクトコンディションの品物を100ドル以下で販売している。