テレマーケティングの訓練された苦情担当係には、歯がたたないと思いながらも、何度か電話をかけた。だが、その時は間違いを認めても、送られてきた請求書はオーバーチャージされたものばかりだった。掃っても、掃っても、顔にとまり来るハエのようなものである。
電話は日常生活に欠かせない。悔しいが諦めて支払いを続けるより方法がなかった。「電話のレンタル契約までキャンセルする事態には、決して発展しない」との会社側の読みに屈してしまったのである。
但し私は、カレンダーの記載と照合して、こちらが認めた料金だけ、すなわち相手の番号と時間を詳しく書いた手紙、それに該当する金額の小切手を添えて直接本社へ送りつけた。支払いを拒否しているのではなく、誠意を持って払っていることを見せるためである。こうしておけば、もし裁判になった場合でもこちらが有利となる。悔しさからの小さな抵抗であった。
抗議を始めたのが2002年6月、次月分は正常で、再び8月からやり出したから、それ以来ずっとこの方法で払っていった。するとオーバーチャージ分だけが未払いとして残り、次月の請求書へと加算されていった。慣れてくると不思議なもので、毎回どれだけオーバーチャージされているのか、見るのが楽しくなってきた。同時にインターネット接続回数も二日に一回と減らした。
ある人は消費者生活センターに苦情を言ったら、即刻会社側がオーバーチャージを取り消したという。又オムバッズマンに直訴すれば良いと言う人もいた。前々からオムバッズマンのことは聞いていた。しかし評判が良くないのである。調停どころか、常に相手側、強い方の味方だと聞いていたからである。みなそうではないと思うが、いずれにしても、仲介者を通すということは、手間と時間のかかる作業で、あまり乗り気はしなかった。
そうこうして、2004年3月がきて、二年近く経った。前ブログでも述べたが、セカンドハンドディーラーズライセンス登録料の異常な値上げがあって、当局(フェアートレイディングソサエティ)へ抗議の手紙を書いたとき、このテルストラの一件にも触れ、「フェアーでないから、貴方の事務所から抗議をして欲しい」と願い出た。すると、そこからテレコミュニケーションオムバッズマンの住所が知らせて来て、再チャレンジすることにしたのである。
今までのテルストラとの経緯を手紙で詳しく述べ、明細書のコピーを添えて、こちらが認めた料金だけは、払い続けていることを伝えた。すぐに返事が届いた。そして、「手紙を受け取り、即刻テルストラへ伝えた。そちらへ当社から何らかの連絡がある。もし来ない場合には、もう一度こちらへ知らせてほしい」とあった。
テルストラからも手紙が届いた。発信元はビクトリア州バララット、発信人はピータージョーンズ、肩書きはテルストラ消費者販売促進課ディレクターとなっている。ここが悪の根源、テルストラでオーバーチャージを推進している中核である。やっと辿り付いた。次から苦情があれば、この住所、この人物宛に直接手紙を出せばよいのである。
手紙には「今まで加算されたオーバーチャージ料金は、すべて取り消す」との内容だった。今までの努力が実ったのである。それにしてもオムバッズマンのパワーはたいしたものだと感心した。そしてテレストラはもう二度と私に対してオーバーチャージはしないだろうと思った。
単純な質問だが、「なぜテレコミュニケ-ションオムバッズマンなんて人物が要るのだろうか?」である。日本でも、今までに聞いたことがなかった。この国では、彼らを必要とする程、その問題でのトラブルが多いからである。
前にも述べたが、以前はテレコムオーストラリアと呼ばれていた。そのころ1コールのことを1ユニットと云った。当時そのユニットという意味がなかなか分からなかった。電話をあまり使っていないのに、ユニット数が異常に多かった記憶がある。考えてみれば、その頃からオーバーチャージは続けられていたのである。小額だったし、国が経営管理していることで、信頼しきっていた。苦情なんて云うのは、もってのほかだったのである。
さて次月の請求書は、一体どのようになっていたかである。云うまでもない事、「顔にとまりくるハエである」 私はもうオムバッズマンに苦情を云う気力さえなくしてしまった。彼らも、最初からそれが分かっていたようにも思える。