脚本家= 神
脚本家パク・ヘヨンさんが神だった。
魅力的な登場人物たちを生み出し、彼らのありのままの姿を描き、大小さまざまな試練を与え、解放というキーワードで私たちに生きる意味を問いかけてくれた。
神様(=脚本家)の手のひらで泣いたり笑ったり怒ったりする登場人物たち。美しいエンディングはまさに神様のプラン通りで、鳥肌が立った。
キリスト教的思想があちこちに仕込まれていたので、この思想が根付いている欧米でもかなりの話題作になるのではないかと思った。
以下ネタバレ含みます🙏
完全な解放なんてない
まずこんなこと言ってはアレだが、生きている限り完全に解放されることはないというのが結論だ。逆に言えば完全な解放は死んだ時なんだよね。
解放は行動すれば無条件で得られるワクワクするものなのかなって思って見てたけど違った。そんな単純な話ではないんだね。解放とはその過程で痛みを伴ったり、なにかを手放したりしなくてはいけないことが描かれていた。
自分にとって解放とはなんだろう、それを得るためになにを受け入れてなにを手放さないといけないのだろう、と自問する機会を与えてくれた。
救世主を崇める事と罪人を許す事
この物語でとりわけ美しいと思ったのがミジョンとク氏の関係。彼らはお互いの存在が「救世主」であり、互いに「崇める」ことで生きる希望を見出すのだ。自己評価が低く自分を愛することができなかった彼らだったけど
(ク氏なんてセルフネグレクトだよね😱)
愛しかないと言い切るエンディングには感動した。
さらに、罪人(借金元カレ、着服先輩など)への怒りの感情を手放し、許すことで心の平穏を勝ち取ったことは大きいと思う。敵を許すのってほんと難しいと思うんだけど、長い時間かけてその過程を見せてくれた。ほんとにほんとに見事!!
ギジョンは神様のおもちゃ?
私の最初の印象では、ギジョンはほぼ解放できている人物だったんだよね。恋人ができた段階でハイ、解放、おめでとうって思ったのよ。
だが考えてみると彼女、懺悔、懺悔の人生なのだ。
まず子持ちバツイチ男への失言に始まり、告白してきた男たちに懺悔して。
また妹ミジョンに威張ってきて(自分はベッドで寝てミジョンは床で寝てるよ。酷くない??)、家の手伝いもあんまりしてなかったようだけど、恋人の姉の態度には悩むことになる。
そして恋人の娘の態度にも悩むけど、自身の父が後妻をもらうという逆の経験もする。
最終話では50歳の女に謝罪するという駄目押しが🤣
ほんと懲りないギジョン!!
これはもう神様にいじられてるとしか思えない。
でもちゃんと皆に愛されて気にかけてもらってるから大丈夫って思ったよ。傷心で髪を切った時に皆から心配されてたもんね。
ちなみに、私はギジョンによく似た女だと思っとります。きっとこれからもいろいろやらかして懺悔しながら生きていくんだろうな。。。
少年が大人になる時
チャンヒというキャラクターは理解するのが難しかったよ。ただのお喋りな陽キャのようでいて知性的だし、激しく怒ることもあるけど本当は心優しいし、子供っぽいのにやろうと思えば大人の振る舞いもできる。だから私は最後の最後まで彼の心理を読み違えていたような気がする。
夢にむかってチャレンジしたい気持ちを持っていたことは確かだけど、自分の適性や置かれた境遇・運命でそれが叶わないことを悟る、そんなキャラクターだったように思う。
15話ラストで山を見つめるチャンヒは、思い描いた夢を手放し、山に自分を重ね合わせて涙する。
この泣き方がぐっと来るんだけど、男泣きではなくて、少年が夢を諦めたときのような泣き方なんだよね。
大人になるって、夢を諦め現実を受け入れることでもあるのかな。
(一個前のブログでチャンヒはチャレンジャーなんて大嘘書いてすみません💦)
最後は神様からの思わぬプレゼントで、ぴったりな天職にめぐりあえたみたいだね。
後日、このときのことを得意げに友人に語りたくなっちゃうね。それとも動機は内緒にできるのかな😁