【テーマ・りか】





種子の落ちたところに根を張り
根を張ったところに芽を出して
芽の出たところに葉を繁らせて
葉の繁らせたところにつぼんで
つぼんだ花びらを一度ひらいて
一度ひらいたら枯れてしぼんで
しぼんだところに種子をつくる。

雨が降ったら吸い上げて
陽がさしたら光合成して
夜のあいだは呼吸をする。

それら全部をここで行う。
あさがおはどこにも行かない。
種子の落ちたところが
南国でも北国でも野原でも植木鉢でも
そこに落ちたのが運命でも偶然でも

そこで芽吹き
そこで咲いて
そこで枯れる。

それがあさがおのことわりだから。




わたしは?














ずっとここにいたんですね。











【テーマ・りか】

予感は
半分当たって半分はずれ。



昨日のわたしは
今日あのつぼみが花開くことを
きっと知っていました。

けれども昨日のわたしは
まさかこんな色の花が咲くとは
思ってもいませんでした。

赤とも青ともつかない
混じりあってもいない

昨年咲かせた花の色とは
まったく違うのに違わない
不思議ないろの花でした。

風が花と葉っぱを擦り合わせ
花びらは少し傷ついていました。

メンデルの気持ちが
ちょっとわかったような気がしました。

人間の科学的探究心は
いつも感動から始まるのでしょうね。


昨日のわたしが気づかなかった
つぼみの膨らみがもうひとつ。




こちらは懐かしい紫色。

昨年わたしのこころを
現実に引き戻してくれた
深く鮮やかな紫色です。

ベランダの柵の向こう側の
空に向かって開きました。

写真を撮ろうと
柵から身を乗り出したとき

カメラを落としちゃいけないよ
きみが落ちたらいけないよ

そんな声が聴こえた気がして
少し遠巻きの写真になりました。


きっと明日からは
入れ替わり立ち替わり
たくさんの花が咲いては枯れることを
今日のわたしは知っています。

堂々と咲いたあさがおの傍らで
洗濯物を干しながら
わたしはとても幸せでした。