【テーマ・どうとく】



みえる
きこえる

初めはそんなことだった。
そうやって学んでいった。


見る
聞く

やがてそれは能力となった。
そうやって学んでいった。


見る
聞く
考える

次第にそれは育っていった。
そうやって学んでいった。


見ざる
聞かざる
考えざる

自ずとそれは離れていった。
そうやって護っていた。


見えない
聞こえない
わからない

いつしかそれは迷いに変わった。
そうやって喰われていった。


見てよ
聞いてよ
教えてよ

とにかく誰かを探していた。
そうやって求めていった。


見たい
聞きたい
生きていたい

なんとかそれを貫いた。
そうやってすがりついた。


はるかむかし
なにももってはいなかった。

はるかむかし
わたしはどこにもいなかった。



観える
聴こえる

もはやそれは能力ではない
そうやって手放していった。


みえる
きこえる

初めはそんなことだった。

いまもそんなことである。












【テーマ・こくご】


ぼくは流れ星に
お願いしたって
いいと思うよ。


いつかお兄さんが
言ったんだってね。

流れ星は一瞬だから
三回もお願い唱える
ひまはないって。


いつか学校で先生が
言ったんだってね。

流れ星は星じゃない
大気で燃え尽きる
宇宙の塵だって。


だからきみは
流れ星にお願いするのを
やめちゃったんだね。



だけどへんだよ。
おかしいよ。

流れ星が一瞬で
流れ星がほんとは塵で

お兄さんも先生も
間違ってはいないけど

きみの願いを叶えることと
どう関係があるんだい?



ぼくは流れ星に
お願いしたって
いいと思うよ。

あっという間に消えるのは
とっても残念なことだけど

確かな正体を突きとめるのに
おとなは一生懸命なんだけど

がっかりすることはないよ。
遠慮したりしなくていいよ。



今日は東を明日は西を
きみは南をぼくは北を

見上げてぼくらは
流れ星にお願いしたって
いいんだよ。











【テーマ・こくご】


天使は悪魔の格好をして
やってくるんだ。

ぼくらがちゃあんと
気がつくように。




もしもぼくが
魔界に迷い込んだねずみなら

暗闇で光る猫の瞳がぼくの天使だ。


もしもぼくが
魔界を支配する魔王なら

寝首をかく裏切者がぼくの天使だ。


もしもぼくが
魔界で枯れゆく萎えた葦なら

凍てつく潮風がぼくの天使だ。



ぼくらがちゃあんと
気がつくように

天使は悪魔の格好をして
ぼくらの前にあらわれる。

ぼくらがぼくらを
救えるように

ぼくらがぼくらを
生かせるように

天使は悪魔の格好をして
ぼくらをずっと
見つめているんだ。