【テーマ・どうとく】



失うというよりは去りゆき
忘れるというよりは消えゆく


失うと思えば惜しくなり
忘れると思えばさみしい

失ったのだとすれば惨めで
忘れたのだとすれば愚かだ

失うためには在らねばならず
忘れるためには知らねばならない

失うならば得られるはずで
忘れるならば知り得るはずだ

失われてから在ったとわかり
忘れてから知っていたと知る

ただしそれはすなわち
あらかじめなかったと同じ




所有を問わねば失うこともなく
執着を離れれば忘れることもない

失ったのでない
それは去っていった

忘れたのでない
それは消えていった

失わずともそこに在り
在るからこそ去りゆく

忘れずとも知っていて
知るからこそ消えゆく

去ってもそれを失わず
消えてもそれを忘れない



ならばそれはすなわち
去りゆき消えゆくとも

永遠に在るということだ









【テーマ・かていか】



久しぶりに
風邪で高熱になりました。

疲れがたまっていたようです。


高熱の出る数日前から
風邪の初期症状があったので
いつものように
ねぎと生姜の雑炊を食べたり
葛根湯を飲んだりもしたのですが

睡眠不足がものをいったようです。



夕刻から急激に悪寒を感じ
またたくまに熱が上がりました。

からだの表面は寒いのに
深部から沸騰してくるような
熱波を感じながら
久方ぶりの頭痛が襲ってきました。

歯痛と顔面の痛みに耐えかねて
一瞬鎮痛剤がほしく思いました。

大量に常備していた鎮痛剤を
すべて処分してから2年。
はじめて飲みたいと思いました。


わたしの危険な衝動を
押さえてくれたのは娘でした。

熱でソファに倒れこんだわたしに代わり
張り切って台所に立った彼女が
作ってくれたのは

いちごとレモンの入った
ミルクドリンクでした。

いちごをていねいに潰して
レモン果汁をかけて
砂糖とミルクをたっぷり。

「風邪に効くよ!」という娘の言葉通り
鎮痛剤の何千倍も効きました。


熱が下がったわけでも
頭痛がらくになったわけでも
ありませんでしたが

耐える勇気がわきました。


そばでは息子が
熱の出るのは白血球が
バイ菌と闘うからなんだと
一生懸命教えてくれました。

熱が下がったわけでも
頭痛がらくになったわけでも
ありませんでしたが

苦痛を受け入れることができました。


熱が下がったわけでも
頭痛がらくになったわけでも
ありませんでしたが

しあわせを感じることができました。




子どもたちに
風邪をうつしてしまうのを
心配していましたが

おかげさまで
ふたりともたいそう元気です。


きょうは三人で
リンゴをすりおろして
あたたかいレモネードを
作って飲みました。

ちょっぴり酸っぱすぎたので
半分は搾って冷やして
お風呂上がりに飲みました。

ふたりはわたしがお湯からあがるまで
喉の乾きを我慢して
待っていてくれました。



人間
一生のあいだに
何べんもかぜをひきます。

かぜをひいたら
ひくたびに

気づきと学びと免疫と
愛としあわせが得られます。