【テーマ・こくご】


音が鳴らないといって
落胆するなかれ

聴きたいと願えば
こころが動き

こころが動けば
筋肉に伝わる

筋肉の伸縮が鍵盤に乗れば
楽器は音を打ち鳴らす

願いは叶う




旗がなびかないといって
あきらめるなかれ

無風の沈黙に耐えられず
こころに嵐を呼べば

強風に翻弄される旗を
ぼくらは支えきれない

嵐のなかで弄ばれる旗を
誰も見上げることはない

沈黙と呼ばれる活動のなかで
静かに星が廻っているなら

やがて西の方から風が吹く

こころが凪いで風を受ければ
ぼくらの旗は風を孕んで

願いは叶う



静寂が音を打ち鳴らす
無風が旗をなびかせる

願いとは

願ったときにもう
きっと叶っている










【テーマ・りか】

「建物の裏手に
強力な除草剤を散布します。
ご注意ください。」


あさがおのある
ベランダの真下に
除草剤がまかれました。

ある日ポストに
アパートの管理会社から
通知のおしらせがあり

まもなく
アパートの裏に
繁っていた雑草たちは
枯れ果てました。

精一杯つるを伸ばし
限界まで葉を繁らせたあと
この時期あさがおは
花を咲かせることに
栄養を使うようで

毎年花が盛りのころになると
少しずつ葉の元気がなくなります。

けれども

わずか数メートル下に
立ち入りを禁じるほどの
強い除草剤がまかれたなら

影響はあったと思います。



除草剤の難を逃れるには
欄干に複雑に絡み付いた
つるを全てはずして
別の支柱にでも絡ませ直し

お引っ越しさせなければならず

あさがおを傷つけずに
そんなことするのは
不可能と思われました。

あさがおを守れない苦しさと
守ろうなとど思うおこがましさと
人間の身勝手さとか
人間の無力さとか

いろんなものをないまぜにして
もやもやしているわたしを前に

あさがおたちは


猛毒に身をさらしながら
次から次へと花をひらく。

今朝もひらいた花のそばで
本葉は赤黒くなって枯れていた。



胸がドキドキした。



わたしはあさがおを
外側から観ているようでいて

あさがおと同じところにいる。
いのちの危険を感じる場所。




けれどもあさがおは
咲くべきように咲く。

振り撒かれた危機さえ
予め許していたかのように
生かされるままに生きる

そんな勇気が
わたしにはあるだろうか。



胸がドキドキした。