【テーマ・りか】


今夜の月は
もっとも明るく
もっとも大きく
輝くそうです

月と太陽と地球
三つの天体が
一直線に並び

月と地球は
もっとも近くに
寄せ合うそうです

そんな月を
太陽が輝かせ
そんな月を
地球は隠さず

もっとも明るく
もっとも大きな

満月が空に浮かぶそうです


潮が満ちます
津波がえぐった傷痕にも
人類がえぐった傷痕にも


【テーマ・どうとく】


いろんな類いのうそがあります


ひとのこころや
ひとの生きる環境は
刻々と変化するのに

一度放った言葉は
決して取り消しできず
形を変えることも
ありません

それが
この世にうそが
存在する理屈だと思います

絶えず変化する環境のなかで
絶えず流れる時間のなかで
言葉を駆使して生きるわたしたちは
どうしたってうそをつきます

過去にはうそではなかったことが
時代が変わればうそに変わることも
たくさんあります


絶えず変化する人間関係において
絶えず流れる感情において
言葉を駆使して生きるわたしたちは
どうしたってうそをつきます

本音を垂れ流すことで壊れる関係や
相手の未来を思いやることで生まれるうそも
たくさんあります


浅はかで見苦しいうそもあれば
高潔でやさしいうそもあります

狼少年が戒められる一方で
うそも方便 とも申します
誰かにとってうそでも
他の誰かにとっては
真実であるということも
あり得ます


うそは
悪意でもあり善意でもあり
うそは
武器でもあり防具でもあり
うそは
必要でもあり不要でもあり

うそをつかないひとも
うそを許さないひとも

存在しません



ひとは
そのひとの言葉に覚悟を感じたり
そのひとの瞳の奥に愛情を感じたり
そのひとの運命に悲哀を感じたり
そのひとと自分の関係に絆を感じたり
そのひとの境遇に同情を感じたり
そのひとの姿勢に気概を感じたり

した時

そのひとのうそを見抜き
そのひとのうそを許します

そのひとに覚悟がなく
そのひとに愛情も悲哀もなく
そのひとに絆も同情も気概も
感じられないとき

そのひとのうそを見抜くに至らず
うそをつかれているかもしれない不安に見舞われ

傷ついていきます



やさしさからついたうそも
相手がやさしさを求めていなければ
手痛い仕打ちになりますし

中途半端な覚悟でついたうそは
良心の呵責が襲ってきて
うそをついたひとを滅ぼします


うそなど
つかずに
生きていけたら
それに越したことは
ないのかもしれません

けれども

ひとは
やさしさゆえにうそをつき
やさしさゆえにうそを見抜く

うそのなかに真の感情を託し
うそを超えて真の信頼を築く

本質的にそこを目指して
ひとは生きるものであると
わたしは勝手に思っています



連日の報道を見ながら
情報が錯綜したり
報道の是非が問われたり

わたし自身の気持ちが
報道や情報に左右され
信じるものを探していることに気づき

波立つ気持ちを落ち着けて

うそについて考えました


うそをつかずに生きるのは
たいへん難しいことですが
自分のこころにうそをつかずに
生きようとすることは
きっとできると

思っています



ベッドに入ったものの
なかなか眠れない様子の娘が
「なんだか怖い」と訴えてきました

得体の知れない不安や恐怖で
寝付けないことがあるのは
おとなも子どもも同じです

娘に添い寝しながらわたしは
娘に安心してもらいたいと願いました

娘はようやくウトウトして
やがて眠ったようにみえたのですが
わたしがそーっと体を離そうとすると
ハッと目を見開きしがみついてきます

そんなことを何度か繰り返しながら
少しずつ眠りについていく
娘をみながら思いました


わたしは
娘に安心を与えると同時に
その安心が失われる不安を
与えてしまっているのだなぁ…と


だからといって
不安を与えないために
安心を与えないわけにはいかず

安心が永続するとウソをつくわけにも
いきません

そしてハタと気づきました
これはとても
難儀で厄介で理にそぐわないように思えて
実はものごとの道理に従った
ものすごく自然なことだと

ものすごく自然なことは
一見とても不自然に感じるもので
それは夕焼けや日蝕や
天気の変化や動物の死骸にも
感じるものだと思います


母親にそばにいてもらって
刹那的に安心を得るものの
それが永遠に続くものではないことを
同時に避けがたい事実として受け止めていて

それが不安を感じさせ
しかし不安があってこその
いまこの瞬間の安心なのだ
ということ



安心すれば不安になる
不安があるから安心がある

生まれればいつか死ぬ
死があるから生きられる


死生観なんて
小難しいこと
わたしには関係ないと
思っていた
(正確には思いたかった)
けれど

ほんとはとても
身近なところで
アタマでは感じなくても
こころでは感じているものなのかも
しれないなぁと

思いました