【テーマ・こくご】



ある山の森の奥
洞穴で熊が暮らしてた

熊は少年と暮らしてた
ロクにしゃべらん
話しも通じん
それでもなんでか
熊は少年と暮らしてた


ある日
少年は山犬になってた
熊はどっさり魚をとって
もさもさモリモリ食いながら

なあんでこいつ
魚は食わんかなあ
と思ってた


あくる日
山犬はウサギになってた
熊はどっさり魚をとって
ばりばりモリモリ食いながら

なあんでこいつ
魚は食わんかなあ
と思ってた


あくる日
ウサギは小鳥になってた
熊はどっさり魚をとって
のそのそモグモグ食いながら

なあんでこいつ
魚は食わんかなあ
と思ってた

あくる日
小鳥はコオロギになってた
熊はどっさり魚をとって
あむあむモグモグ食いながら

なあんでこいつ
魚は食わんかなあ
と思ってた


あくる日
コオロギはノミになってた

熊はどっさり魚をとって
バリバリぼりぼり
背中を掻いた


熊は魚を食いながら

おや
あの少年は
いつ
どこへ
行ったかな

と思ってた


【テーマ・りか】



卒業しない学校-2011060808040000.jpg




昨年
息子が育てた朝顔の
種がたくさんありました

ある日
息子が思い立ったように
「種を植える!」
と言い出しました

庭もなく土もなく
双葉が出るまで
水栽培するつもりでした

いくつか芽が出たころ
窓際に置いておいた
苗の箱が
ひっくり返されていました

せっかく出た双葉は水に浸かり
根がむき出しになっていました

牛乳パックで
間に合わせの植木鉢をこしらえ
なんとか土に植え替えました

弱々しくうなだれていた
双葉を見て息子は
それほど残念な様子は見せず

けれどもある日
双葉の間から本葉の兆しが
うまれたのを見つけたとき

息子は嬉しそうでした


あれだけたくさん
あった種のなかで
いま育っているのは
わずかに二株

生まれたての赤ちゃんの
手のひらのような
かわいい葉をつけています


そろそろ水捌けのよい
植木鉢に移そうと
息子と相談しているところです




【テーマ・こくご】


翼を持ったあの鳥は
翼を持たぬお前を笑わぬ

鳥にはお前が見えぬのだ


言葉を話さぬあの鳥は
言葉を操るお前を妬まぬ

鳥にはお前が聞こえぬのだ


武器を携えぬあの鳥は
銃を構えたお前に怯えぬ

鳥はすべてわかっているのだ


お前に翼が生えようと
鳥は決してお前を厭わぬ

お前が言葉を失おうと
鳥は決してお前を憐れまぬ

お前が鳥を撃ち落とそうと
鳥は決して世から滅ばぬ


お前はただ空を仰ぎ
羽ばたく鳥を眺めるだけ

鳥はただ宙を舞い
お前のこころに映るだけ

穏やかでもゆるぎなく
お前と鳥がそこに在る

静かにそして確実に
お前と鳥がここに在る