【テーマ・どうとく】


断って紡がれる絆がある
捨ててすがる思い出がある
離れて輝くたましいがある

そもそもそれらは
目に見ることも
手に触れることも
かなわないものだ

そもそもそれらに
どうやって
しがみつこうと
出来るのか


親子の絆は断てぬと言い
甘い思い出は捨てぬと言い
死ぬまで魂と共にあるなど

本当に出来るとお思いか



断てぬ絆が子に重荷を背負わせ
捨てきれぬ思い出がいまを曖昧にし
離れられぬ愛着が不幸を連鎖する


そもそも
目には見えぬのだ
手には触れぬのだ

断つも捨てるも離れるも
己のこころ構え次第なのだ

なにを断とうが
なにを捨てようが
なにを離れようが

己はいつも
己と共にあるではないか
【テーマ・こくご】


少年よ
ひとびとは羊が心配なのではない
ひとびとは羊が食われるのが怖いのだ

少年よ
ひとびとは狼が怖いのではない
羊が食われる損失が痛いのだ

少年よ
ひとびとはおまえをあてにしてはいない
見張り屋を必要としているのだ

少年よ
ひとびとはお前の呼び声に反応しているのではない
ひとびとは彼らの不安に反応しているのだ

少年よ
ひとびとはおまえの嘘に安堵しているのではない
羊が失われなかったことに安堵しているのだ

少年よ
ひとびとはおまえの嘘に怒っているのではない
ひとびとは不安に晒されたことに怯えたのだ

少年よ
おまえが狼少年と呼ばれる前に
おまえが覗かねばならないのは
村のおとなの顔ではない

おまえを取り巻く
羊たちのつぶらな瞳だ


【テーマ・りか】


卒業しない学校-2011072208370000.jpg


生き残ったふたつの種子の
咲かせた花は
ひとつは深い紫色でした

もうひとつは
緑に映える赤色でした


緑のなかの赤


咲いたときにハッとしました
それはわたしのなかに
言えずにおいた希望でした

意味のある偶然は
恐れを捨てればこんなにも
自然に感じられるのだと

意味のある偶然は
ありのままに見つめればこんなにも
外側と内側をつなぐのだと


小さな震えを感じました



あの日
息子が思い立ったように
しまい込んだあさがおの種子を
植えようと言ってくれなかったら

あれから毎日
太陽が雨が風が夜が
照らして降って吹いて訪れてくれなかったら

世界がいまのようでなかったら

ついついそんなふうに
平行世界を思ってしまいますが

花の咲いたいまがある
その現実を噛みしめる限り

バタフライエフェクトは
起こり得ないのだとわかりました

花の咲いた世界に
花の咲かない現実はない

わたしの生きる世界に
わたしの生まれない現実はない

つまりは
そういうことなのですね