【テーマ・りか】


ひとつ嵐を迎えるたびに
あさがおの葉はどこかへ
旅立ってゆきました

大きな被害をもたらした
台風が北のこの地に訪れるころ
台風被害の集計を新聞で確認しながら

あさがおの種子を拾いました


いまではすっかり
鉢に残る水を吸い上げるちからさえなく
かつて生命であったものとして
土に還るのを待つばかりの姿になりました

そして



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写真はずいぶん前に
初めて種子を摘んだときのものですが

大小さまざまな
種子がたくさん実りました

ちょうど
春に息子が
キラキラしながら並べていた
あさがおの種子とそっくりでした


もっとなにか
感じるものが
あると思っていました

けれども

種子を手にしたわたしは
ただ淡々としておりました

きっとわたしの知らぬところでわたしは
このあさがおの成長を慈しみ
この種子の誕生を喜び
このひと世代の終わりを惜しみ

悲しみ

次世代のあさがおに
思いをつなげようと
しているのだろうと思います


いのちに寄り添うときというのは
いたずらに感情を高ぶらせては
いけないのです

いたずらに言葉を用いては
いけないのです




【テーマ・こくご】



そこが闇のように見えるのは
おまえが光ばかりを追いかけて
おまえの目が眩んでいるからだ

そこが影のようにみえるのは
おまえが光の前をうろついて
光のみちを遮っているからだ

クソジジイの声は言う

どこかで炎の音がした



光を背負えば影を抱き
光を抱けば影を背負う

存在する限りそれはつづく

闇を厭い影から逃げても
闇も影も己れがつくる



クソジジイは黙っている

どこかで炎の音がする


【テーマ・りか】


なんだか祭りのあとのよう

花が盛りのときだなんて
いったい誰が決めたろうか


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ここのところ続いていた
雨に打たれて少し
やつれたように見えました

いくつもいくつも
代わる代わるに
花は開いては枯れてゆきました

そうしてこの雨が始まる前
最後のつぼみが花ひらき
雨に打たれてしぼんでゆきました

いまはみな
まるでしめし合わせたように
黙ってまあるくなりました

まあるい膨らみのなかではきっと
あらたな世代に歴史のすべてが
受け渡されているのでしょう

機が熟して弾け出す
いつとも知れないその瞬間まで
わたしはじっと待ちましょう