去年の10月頃の派遣先での話。

新しい派遣の方が入られ、その方は最初お昼を自席で食べていた。
しかし私と一緒に駅まで帰った時に、
「静かすぎてつまらない。」
とつぶやき、その発言の数日後に、お昼は空いている会議室で食べているメンバーの方達と摂るようになった。
メンバーの一人から誘われたのだそうだ。
派遣先でのお昼の過ごし方って難しいと私も思ったことがある。
そもそも派遣社員は"他所様"だし、ましてや自分一人だけがその企業に派遣されたら、どうしようか迷ってしまう。
それに、食べ終わってからすることが、スマホのサーフィンか昼寝ぐらいしかない。
(昼寝は慣れてきてからだが)
だから誰かが
「一緒に食べませんか?」
と声をかけてくれると、嬉しいというか、すごく安心する。
だが、その新しい派遣の方が会議室で昼食を摂るようになって一ヶ月くらいすると、今度は
「うるさい。」
と愚痴をこぼしてきた。
私は正直(やっぱりな)
と思った。
メンバーの一人に自分の話ばかりをデカい声で話す人がいるのだ。
その会議室の薄い壁を隔てた隣で一人で昼食と読書をしている方が、
「〇〇さんの声がデカいから耳栓しちゃった。」
と私に言ってきたことがあったのだ。
「どこで食べるかって難しいですね〜。」
と返した。
ちなみに私は自席である。
もう雰囲気に慣れているので、お昼を食べたら昼寝をして"いた"。
そんなやり取りがあってまた数日後、新しい派遣の方と朝更衣室で一緒になった時、
「ズボンの裾上げしなきゃ。」
と言っていた。
手芸のりで付けていたが取れてきたのだそうだ。
「やっぱり縫わないとダメだね。」
と言っていた。
そこで私は、
「裁縫とか面倒くさいですよね〜。」
みたいなことを返したら、
「結局やらないのに、布とか買っちゃうんだよね〜。」
と言っていたので、
「編み物ってやったりしますか?」
となんとなく聞いてみた。
そしたら、
「毛糸も買ってあるんだけど、ヤッパリやってないんだよね〜買っただけ。…そうだ!ピカリさん、お昼休み一緒に編み物やらない!?」
とひょんな流れでお昼休み編み物をすることになった。
私は編み物(鍵編み)を30年近くやっていない。(ドーン!!)
試しにブックオフで編み物の本を買ってみたが、この世に『編み図』なるものがあると知らなかったので、出鼻を挫かれた。
(昔人から教わったから。)
とは言え、私の中では
(出来ても出来なくてもいい。)
という感じだったので、毛糸を何度もほどいては、本を見返していた。
(編み図を読み解くことに力を注いでいた。)
一応作りたいのはタワシ。
円形に編んでいくのに、形が歪にならない様に“増し目"を入れていくが、編み図の中で他と違う模様が増し目の場所だと、隣の席の長が教えてくれた。
お子さんにニット帽など作っており、編み図にも慣れていそうだ。
新しい派遣の方は、お昼を最初会議室で食べ、食べ終わると自席に戻って編み物を始めていた。
スマホの動画を観ながら進めており、すでに巾着袋や、飼っているトカゲが入る袋も作っていた。
(トカゲが毛糸の袋に入っている写真が可愛かった✨)
私のスマホのキャリアは電波状況が悪く、動画が見れないのと、せっかく本を買ったので、解読したいというこだわりを抱いてしまい、まったく進んでいなかった。
「私もやってみようかしら?」
と言い、私は母が編み物をそれこそ30年以上やっているところをみていなかったので、(私がほんの小さい時に、セーターやミトンを作ってくれた記憶はある。ソレが最後なはずだ。)
「いきなり始めて、すぐに出来ないよ!」
と断言したが、母は1日でミトンを作ってしまった。
(孫用に作ったが、採寸していない。目見当で作ってしまった。)
「こんなの簡単よ!」
と鼻息を出していた。

段々ただの時間潰しから、関係者が増え、編み物と向き合う流れが出来てきた。
幸い世間も編み物ブームらしく、本屋に関連書籍が並んでいた。
少し負けた感じがしたが、結局基本の本を1000円ほどで購入した。
ある日、朝起きて編み物を編んでいる。
「1,2,3,3,1,2,3,3,…」
(増し目は3,3と繰り返す。)
と口に出して呟いている。
…無になってた!と気づく。お昼の暇つぶしの気まぐれから、朝活にもよさそうである。
ちなみに母はミトンとニット帽を作り、孫にあげた。
孫のママ(私の妹)が特に喜び、
「スキーに行った時用に、ピンクか薄水色のニット帽を作って欲しい。」
と母に頼んでいた。
母は早速新しい毛糸を買いにゆき、ユザワヤの会員カードを作っていた。
