施設にスゴイ職員がいる。言葉を選ばずに言えば、利用者さんを『いじる』のが上手い。
ある女性利用者さんが、青いツヤのある生地の上着を着てこられ、その上着全体にボンボンが付いていた。
みんな
「オシャレですね~✨」
なんて言っていたのに、その職員は、
「パリオリンピック閉会式に出るんですか?」
と言った。ちょうど次の日が閉会式なので、
「これから空港に向かうんですか?」
なんて乗っかる他の職員もいた。当の言われた本人は笑っていた。このやりとり、よくやっているのだ。
他の利用者さんが靴箱で靴を探していると、その職員が、
「〇〇さんのは臭いからすぐ分かるよ!」
と言った、さすがにその発言はマズイんじゃ…と思ったが、言われた利用者さんは、
「へっだ!あんたの方が臭いよ!」
と言い返して、まわりが笑った。
無気力な男性利用者さん、声を掛けると、
「めんどくせぇ」
が口癖で、ずっとイスに座っている。その方に対して例の職員は、
「〇〇さんはA大学出身ですよね?さすが、すごいですね〜✨」
と言った。聞こえた私も、
「A大学!?すごいですね〜✨」
なんて声を掛けた。するとその利用者さんが、
「誰でも行けるよ。」
と珍しく『めんどくせぇ』以外のことを言った。が、それに対して職員は、
「誰でも行けませんよ〜遠くて行けないです。」
と返した。これには1本取られたと思ったのか、これまた珍しく利用者さんが顔を下に向けて肩で笑っていた。
あと、実は先日紹介した『利用者に新聞を破らせた職員』とは、この人のことである。
この職員が、3月いっぱいで違う施設に異動になることになった。
3/30(日)、ある利用者さんが誕生日を迎えられた。例の職員はここぞとばかりにその利用者さんを狙う。
利用者さんの写真をテレビに映す。ある写真の時、その写真は、絵を描いた作品を手に持って一人で映っている。目線がカメラよりもっと先を見ているようで、ちょっとボーっとして見える。
この映像に対してその職員は、
「〇〇さんが女性刑務所にいた頃に撮った写真ですか?」
と言った。すかさず他の利用者さんが、
「何て失礼な事を言ってるの‼️」
と言ったが、本人は大爆笑。それを見てその職員がさらに、
「そんなに笑って…おしっこちびらないで下さいよ!」
と言ったので、私も、
「なんてこと言ってるんですか!!」
と返したら、あろうことか、
「もう一つの方も出さないでよ!」
と言った。当の利用者さんは涙を流しながら大笑いしていた。
誕生日会が終わり、夕食も食べ終え、帰り支度が始まると、誕生日会を祝われた(いじられた)利用者さんが、普段使っている歩行器を使わず、例の職員がいる事務所にいつもより早歩きで向かおうとしていた。私は利用者さんの側について行った。
その職員を前にして利用者さんが、
「お世話になりました。」
と深くお辞儀する。職員は、
「まだ明日も来るよ?」
と言ったが、
「…私達が嫌になったからよそへ行くんですか?」
と言った。
「違いますよ!会社の命令ですよ!」
とビックリしていた。
「〇〇さん(例の職員)には、本当にお世話になりました。〇〇さんのおかげで、ここで楽しく過ごせました。…ぐす(涙)…ありがとうございました。」
「〇〇さん(利用者さん)元気でね!転ばないでね!スーパーで会ったら声を掛けますから!」
私はその場を離れ、その後しばらく2人で話していた。
