真相 | 球恋記

真相

「こんなコントロールの良い投手、中学生にいるんですか!?」

一志は声を荒げた。


「ばーか。プロでも居ないよ!!」
川名は笑いながら言った。

「トリックはなぁ・・。キャッチャーにあるんだよ!小柳!!おいで」

川名は一人の選手を呼び寄せた。

しかし小柳という男。キャッチャーとは思えないくらいの小柄。おそらく155センチくらいであろう身長体重も50キロもない細身である。


「先生。小柳君のキャッチングに秘密があるんですか?」


川名はニヤリとした。

「何言ってんだ。小柳のこの体格に秘密があるんだよ♪♪」


一志は首をかしげた。


「全く・・。一志!マウンドに立ってみろ!!
小柳ぃ!この鈍感野郎にお前の秘密教えてやれ!!」

一志はマウンドに立ち、小柳はプロテクターを付けてキャッチャーボックスに座った。


「ちっせー的だな。」
一志はそうつぶやいた。


しかし・・。小柳がミットを構えた瞬間、一志は状況を把握した。


(ミットが大きく見える!?まるで俺がキャッチャーミットしか見えなくなってしまったかの様に)


「解ったか!?一志!!
これがトリックだ!!
小柳がしゃがむと身長は2分の1になるってこと。
そんな小柳がキャッチャーミット構えてみろ!
キャッチャーミットがでかく、ダーツの的の様に見えてくんだよ。」


(すげぇ・・こんな野球あったんだ・・)

一志は身震いが止まらなくなり、不思議と笑みがこぼれていた。


川名も、またニヤリと笑った・・。
そして川名はこう叫んだ。


「一志!鬼(統英)退治なら家来が必要だろ!?
俺等が家来なってやるよ!!」


この日。大瀬一志は桜台中学校野球部に入部した。


つづく


この物語はフィクションであり、人物・団体・出来事などとは一切関係ありません。