監督:クリストファー・ノーラン
公開:🇺🇸2023年7月21日
   🇯🇵2024年3月29日


正直、迷っていた

この作品を映画館に行き
お金を支払って、観るべきかどうか____

日本人として



広島と長崎に投下された
原子爆弾の開発を指揮した
〝原爆の父〟と呼ばれる
米国の理論物理学者
ロバート・オッペンハイマーの
伝記映画である


原爆の悲惨な状況も描かれず
多くの被害者と
恐ろしい爪痕を残した日本に対して
一切触れていないとの前情報や
色々な物議で騒がしい中
3時間の長編に挑んだ




おじさん連中の
難しい内容の会話が3時間の大半を
占めていたにもかかわらず
あっと言う間に時間が経った

一瞬たりとも見逃せば
話についていけなくなるだろうと
集中していたことに加えて

キリアン・マーフィー
デヴィッド・ダストマルチャン
その上
ゲイリィー・オールドマンまで

ダークナイトが大好きな私にとって
お馴染みのノーランファミリーが出ていたから
だったことも大きい




私はこの作品で
誰かに同情したり
誰かに怒りを覚えたり
登場人物に対して
感情が大きく動くことはなかった

私の感情は
もっと別のモノに対して
向けられていた




おじさん連中が
会話を進めて行く中で
「私」は
蚊帳の外に居ることに気づき

次に

沸々と湧き上がる感情に
「私」は
日本人であることを自覚した

汚染させた実験施設跡地は
先住民に返すと
あっさり言い放たれる様に

スクリーンの中に
白人至上主義を見た


そして


スクリーンを見ている「私」は
逆にスクリーンから

見られている
試されている
そんな風に感じずにはいられなかった


黒いスクリーンに
白い文字が
流れるエンドロールは

動くことができなかった

それはこれまでに体験したことのない
エンドロール

絶望と羞恥
だった...のかも、しれない


とにかく


「私」は
厚かましくも
彼等と肩を並べてるつもりでいたのだ
彼等と同じ枠組みの中に居ると
勝手に思っていたのだ

正確には
思わされていたのだ

けれども彼等にとっては
「私」など
人間ですらなく
手先が器用で
モノ言えぬ猿くらいの
感覚なのかもしれない

3時間前
本編が始まる前の予告は
「猿の惑星・キングダム」
どうやら、舐められている

そして
一番に私を不機嫌にさせたのは
紛れもなく、私自身なのだ

「私」は
スクリーンの中の彼等と
嫌悪感を抱いた彼等と
同じ場所に居るつもりになって
発展途上の国を
高い場所から見ていたことに
気づいたからに他ならない

安くて、チョロいJAPANのくせして
いい気になっているなんて
とんでもない間抜け面だ




この作品は
戦いに勝った国が
戦いに勝った国民に向けて
作られた作品だなと感じる

負けた国に
憐れみなどかけるはずもなく
そのようなことを
描けば描く程
嘘くさくなるだろうと思う


彼等と「私」たちの学んだ教科書は
同じではない

また
教科書は真実ではない

そうゆうことだからっねって
植え付けなのだから




ノーラン監督は
ダークナイトでも描いている
「人は真実だけでは生きていけない」と


そして


おそらく女が嫌いなノーラン監督が
またしても、その女に託した演技

妻キティが
オッペンハイマーに物を投げつけ
喰ってかかる場面や

「罪を犯しておいて、その上同情までもらうつもり?」

「罰せられれば、世界に許されるとでも?」

などの台詞で

「私」に寄り添うところは
ほんとうに憎たらしいくらいに
上手いと思った



映画館を出ると
予想外のお天気に
桜の花が一気に咲いてた

思いっきり深呼吸して
青とピンクを
目に焼きつけた

来年、また見れる保証など
1ミリもないのだから




Russians/Sting



ここに綴る映画は「わたし」が観た作品です

世間のレビューやランキングとは
少し違うかもしれません

どうぞ
おてやわらかに❤︎