ふと、古いノートの余白に


目が止まった



そこにあったのは


かつて胸を焦がしたあの言葉




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マッチ擦る

つかのま海に

霧ふかし


身捨つるほどの

祖国はありや


寺山 修司


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古いノートの余白に

見知らぬ誰かが書いた


「一番」


別の誰かが

定規で測ろうとしている




過去の重さを秤にかけて


「超えた」「超えられない」と


呟く淋しい墓守







すべての愛は

マッチを擦る一瞬の



あの音


あの匂い


あの刹那の閃光



隣の火花より

明るいか


昨日の火花より

長持ちするか




それを比べて

どうするのだろう




その瞬間


私の闇を全て

焼き尽くした火花は



いつだって


それだけで


完璧な祝祭




誰の物差しも

届かない




全部が私の一番




書物を比べるようにしか

人を愛せない人を

愛しているのは




なんて淋しいことなのだろう











だけど




先の見えない

深い霧の海のような

この現実の中で



不完全な過去を

曝け出して


ただの少年と

少女に戻る時



世間がどんなに冷たく

嘘に満ちていたとしても


根っこにある

純粋さだけは



一生を賭けて

信じ抜くことができる






それは



目の前の霧の海に


決して消されることのない


たった一つの




私の揺るぎない




I  believe








I BELIEVE / 華原 朋美