結婚してても
一緒に居ても
私はいつも一人でした


2年半分の
埃が溜まったような
散らかった
1Kの部屋で

見覚えのある字
呟き飽きたフレーズが
飛び込んで来た


ベッドから
手の届く場所に
置かれてあった

あの人に宛てた
私が書いた手紙だ


独身生活を
満喫してるような

女性の影が
ありありと
見えるような部屋

あの人が別の場所で
幸せでいることを
確認したかったのに

心おきなく
ホントにさよなら
したかったのに


ひと目で
独りとわかる部屋

クローゼットの
奥の奥までさがしても

山積みのレシートを
一枚一枚めくっても

期待は裏切られるばかり


しょんぼりとした
あの人の姿が
目に浮かぶ


憎しみ、後悔、諦め
そんな想いの隙間で
ふと湧き上がる想いは

傷つきたくないって
私が私を守る
防衛本能だけなのだろうか?


私は私の
ガサ入れをする必要が
あるのだと思った

まだ



夏になるといつも

何故だかふと
思い浮かぶ
好きな曲

呑気に

よりによって
こんな非常事態に

暑さと埃で
むせ返る部屋で

流れた



夜明けのMEW


小泉今日子



夜明けのMEW 君が泣いた
夜明けのMEW 僕が抱いた
眠れない夏

パジャマ代わりに着たシャツ
ベッドの その上で
君は仔猫の姿勢で
サヨナラ 待っている
誰が悪い訳でも
誰のせいでもなくて
いつも 若さは気まぐれ
愛をごめんね 愛をごめんね
もっと もっと もっと もっと
キスをすればよかったよね
愛をごめんね 愛をごめんね

君のすべて知っていると思っていた

夜明けのMEW 君が泣いた
夜明けのMEW 僕が抱いた
眠れない夏

シェイドを開けた分だけ
陽射しが 射すように
君が強がり言っても
今なら 見えるのさ
自由でいたいなんて
お互い本当の気持ち
わざと 試しただけだね
愛をごめんね 愛をごめんね

きっと きっと きっと きっと
世界中でたった一人
愛をごめんね 愛をごめんね
君がすべて知っていると思っていた

心にMEW 君が泣いた
心にMEW 僕が抱いた
終わらない 夏