先月、スコッチ文化研究所のツアーで訪れた余市蒸留所。
世界唯一の石炭直火蒸溜(初溜)を行っているのは有名な話。
今回の訪問で、その石炭直火蒸溜に関する面白い話が
聞けたので忘れないよう書き留めておこう。
蒸溜についておさらい。 水の沸点(100℃)とアルコールの沸点(約73℃)の
違いを利用し、アルコールを凝縮する作業。 アルコール約7%の発酵もろみを
加熱すると、水より先にアルコールが沸騰し始め蒸気となって立ち上る。
その蒸気を集めて冷却し、再び液化させることでアルコールの純度を高め、
且つ香気成分の凝縮、不純物の除去を行う。 こんなトコでしょうか。
因みに、モルトウイスキーを作る場合、一般には2回の蒸溜を行いますが、
その2回目を再溜と呼び、余市では蒸気加熱方式を採っています。
ではまず一つ目の興味深い話。
職人の方が手にしている物、これは鏡板の廃材。
鏡板とは樽の両端を塞ぐ平らな面。
なんとその廃材を炉にくべるんです。 こうする事で火持ちが
良くなり石炭の節約にもなるそう。 その石炭ですが、主に
オーストラリア産、ロシア産が用いられているそうです。
個人的には石炭は北海道産であって欲しかった。。。 コストが高いんでしょうかね・・・
二つ目の話。
燃え盛る石炭の炎。 朝9時頃から着火させるそうですが、なんと
最初の一時間ほどは全くの空焚きだというから驚きです。 その訳は?
なんでも、数千リットルにも及ぶ発酵もろみを効率的に加熱させるには
蒸溜器にもろみを充填してから火を焚いたのでは遅すぎるそう。
また、蒸溜器に張り込む発酵もろみも、充填前に前日の蒸溜廃液
(アルコール抽出後の残液)の余熱を利用して予め加熱しておくとの事。
そうした準備を経て行われる蒸溜時間は約5時間強。
先ほどの鏡板は蒸溜のほぼ終盤にくべられていました。
掻き出された燃え殻。
これは掃き集めればよいのですが、問題は排出される煙の方。
工場では周辺への煙害を防ぐため、億単位の費用をかけ
煤煙除去装置を設置。 煙突で空へ、では通用しないらしい。
「今、こういう時代ですからね」、とは工場長の言葉。
そのうちCO2除去装置を・・・なんて日が来るのかも。
「伝統を守る」、この言葉の影には大変なご苦労があるんでしょうね。
しんと静まり返った棟内にラメジャーの音だけが響いています。
ラメジャーとは、もろみが焦げ付かないよう釜の底を鎖で攪拌する装置。
「カタン、カタン、キー」 「カタン、カタン、キー」・・・
これまでに何度も足を運び、もう見る所、聞く所は無いかな、
なんて思っていましたが、どうしてどうして、チョッと蒸溜棟の
職人の方に質問するだけで、知らない話が出るわ出るわ!
これはまだまだこちらに赴き、いろんな方にいろんなお話を
伺わなければならないなぁ、と思った次第。
ニッカウイスキー余市蒸留所、底が知れん・・・











